『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレ評価!有終の美を飾れなかったX-MENに黙祷を

SF X-MEN: ダーク・フェニックスの映画ネタバレ

X-MEN:ダーク・フェニックス


監督:サイモン・キンバーグ
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ソフィー・ターナー、タイ・シェリダン、アレクサンドラ・シップ、コディ・スミット=マクフィー、エヴァン・ピーターズ、ジェシカ・チャステイン 他
言語:英語
リリース年:2019
評価★★☆☆☆☆☆☆☆☆

Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox『参照:https://www.imdb.com


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~”『X-MEN: アポカリプス』にガッカリした?そんな人は『X-MEN:ダーク・フェニックス』を観たらアレルギー反応を起こしちゃうかも知れない!って程残念な映画です”~
~”ストーリーがあって無い様なものだからネタバレも何も無いパターン!過去作品から色々なシーンをコピペして何回も聴いた台詞をリミックスした『X-MEN:ダーク・フェニックス』は評価出来ず”~

もくじ


あらすじ


アポカリプスから人類を救って10年
サイコキネシスとテレパシーの特殊能力を持つジーン・グレイ
X-MENとして活動する彼女は、宇宙での救出ミッションで事故に合う
太陽フレアの様なエネルギーに包まれたが、死を免れてエネルギーを吸収
エネルギーを宿して絶大な力を手に入れたジーン
しかし力を制御出来ず、封じ込められていた別の人格が呼び覚まされる
《ダーク・フェニックス》が覚醒し、地球規模の破壊力が解き放たれてしまう
暴走するジーンを阻止すべく、立ち向かうX-MENの一同だが・・・
『X-MEN』(2000年)に始まる壮大なサーガの完結編


レビュー

11年に亘るサーガに、壮大なエンターテインメントとしての終止符を打ったアベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年に公開された映画の中でも、最もインパクトがある作品と言っても過言ではありません。未だにアメコミ映画が浸透していない日本でさえ熱気が立ち込め、多くのファンの期待に応えたと言えます。
(『X-MEN:ダーク・フェニックス』のネタバレありストーリーを読みたい方はコチラへスクロール

その根源は、制作側のスクリーンに登場するキャラクターへの強い想いに他なりません。

『X-MEN:ダーク・フェニックス』はその対極に位置する映画だと思って頂ければ良い。『X-MEN:ダーク・フェニックス』の観どころは冒頭10分を飾るスペースシャトルの救出シーン程度でした。太陽フレアと思しきエネルギーに侵されて救難信号を発したスペースシャトルから船員をレスキューすべく、ジーン・グレイ/ダーク・フェニックスを始め、チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXやピーター・マキシモフ/クイックシルバーが出撃。

このシーンではキャラクターが多いものの、個々の能力を巧みに活用したアクションが観られる点は悪くない。然りとて映画全体のランタイムから考えると一瞬で過ぎてしまうシーンですので、その一点だけで評価は出来ません。しかし『X-MEN:ダーク・フェニックス』はエアポケットに入った飛行機にも劣らぬ勢いで急降下し、ジェネリックなスーパーヒーロー映画にさえ及ばない薄味で浅い作品となります。X-MEN映画史上、『X-MEN: アポカリプス』(2016年)も驚く程に稚拙な映画でしたが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』ではそれ以上の落胆が待ち構えています。

昨今溢れ返るCGi頼りの陳腐なストロボやビーム、必要以上に派手な爆発を見飽きたなら『X-MEN:ダーク・フェニックス』は観る価値が無い

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クライマックスのショーダウンは、ミュータントが囚われた護送列車をジェシカ・チャステイン演じるマーガレットの種族、ダバリが襲うシーンで繰り広げられますが、特段目覚ましいポイントも無くて月並みな超能力バトル。強いて面白かったシーンと言えば、スコット・サマーズ/サイクロップスが狙った標的への攻撃を外し続ける場面。

サイクロップスが放つエネルギー光は眼球から直接出ているはずなので、サイクロップスとしては標的を見る事さえ出来れば外せないはず。寄り目で狙っていたのか、サイクロップスは


映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレ
フェニックス・フォースを取り込んで驚異的な力を手にするジーン・グレイ/ダーク・フェニックス

出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

『X-MEN:ダーク・フェニックス』には血流を感じないと言えば良いのか、生きた映画を観ている感覚が無い。

演じるキャラクターが架空の存在であっても、根本的に人間として共感出来る感情や想いが重要である事はこれまでのレビュー記事を介して幾度も述べて来ましたが、当然の様で成功している映画は案外少ない。しかし、中でもアプローチの痕跡や試みた印象を受ける事さえ出来ないのが『X-MEN:ダーク・フェニックス』の最大の問題です。

寧ろ、過去のX-MENに纏わる映画を追って来たファンであれば憤慨しかねないキャラクターの扱い方も顕著な作品だったと言えます。チャールズ/プロフェッサーXに至っては、これまでの作品で培って来たカリスマ的な指導者として敬慕される人物像が済し崩しにされ、X-MENのカーテンコールを以て残るのはキンバーグ監督が破り捨てた不憫なキャラクターたちの残骸。

X-MEN史上最大の危険分子となったジーン/ダーク・フェニックスに仲間としてどの様に接し、立ち向かうべきかを考える過程で各々のキャラクターに新たな一面を与える事は、アプローチとして面白いとの見方も出来ますが、タイミングが違う。X-MENの一員であるジーン/ダーク・フェニックスを一蹴して敵対する事は避けたいが、宿した力はあまりに絶大で本人も制御する事が出来ない。チャールズ/プロフェッサーXは前代未聞の困難な局面に立たされて誤った判断を下し、レイヴン/ミスティークは警鐘を鳴らす。一丸となって艱難辛苦するチームとして各々の想いや考え方を探究してみる事は意義のある試みですが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』で描く事では無い。1作品のランタイムで到底語れるストーリーでは無いのです。

急いては事を仕損じる。


映画の評価
レイヴン・ダークホルム/ミスティークの姿形も不自然に変わっており、従来のシリーズと比べると特殊メイクも手を抜いた様な印象を受ける

出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

杜撰な脚本と描写と言えば、社会問題として昨今熱を帯びているフェミニズムのエッセンスも実に不愉快な筆法で『X-MEN:ダーク・フェニックス』に取り入れられています。従来、女性は男性と比べて無能で脆弱だと示唆され、常に男性に助けられたり護られたりする立ち位置から動けずに居ました。しかし、こうした時代錯誤な考え方や描写を変えるべく、ハリウッドを筆頭に映画業界でも大きな改革が試みられていますが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』の仕掛け方は単に表面的で極端に稚拙です。

レイヴン/ミスティークが、男性は結局女性に救われるしか無い為、チーム名を『X-WOMEN』に改めるべきと発言する場面がその最たる例。

男性優位主義的なアナクロニズムを批判し、是正すべき時勢にも関わらず進歩していない。男性が女性よりも優れていると主張する事は誤ちだが、女性が男性より優れていると主張する事が歓迎される世界にすべきとは思えません。卑下されるジェンダーが入れ替わっただけで、本質的な問題は解決していない。精到で一体性のある平等は難しいかも知れませんが、トライすべき時代が訪れている現世で女性にも男性を卑下するチャンスを与える事は、浅はか極まり無い考えを持つ一部の人々を歓喜させ、その代償に多くの人々を不快にさせる荒唐無稽な行いです。優位主義を撤廃し、平等主義を目指すのであれば公園の砂場で学べる初歩的な哲学を忘れてはならない。

されて嫌な事は他人にもしない。

『X-MEN:ダーク・フェニックス』はあらゆる面で雑然としており、銀幕から去るヒーローたちに花道を用意してくれるかと思いきや、グランド・キャニオンも顔面蒼白な断崖絶壁から纏めて突き落として卒業させます。最後まで世界観とキャラクターを愛し続け、どの様な最後を迎えさせるか考え抜いたのではなくてドル箱としか見ていない哀しき集大成が『X-MEN:ダーク・フェニックス』です。

映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレあり評価
スカイ君
なんでX-MENシリーズってこう不安定なんだろうな、良かったり悪かったりが激しすぎるんだよ
モカ君
最後くらいはそれなりに楽しめると良かったんだけどね!ボクは最後の闘いも結構楽しかったけど・・・
映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレ評価、ジーン・グレイ
スカイ君
相変わらず何でも楽しめる性格は羨ましいぜ。そんな自信がある人なら観ても良いかも知れないな。ここからはネタバレありでレビューして行くぞ!劇場で先ず観たい、って人はここまでだ
矛盾と退屈に汚濁されたシーンが蔓延する『X-MEN:ダーク・フェニックス』

浅いストーリーは浅いシーンの集合体。

良作に期待したいキャラクター・ビルディングの議論は後回しにしますが、一段表面的な映像やシーンのフローに目を向けても『X-MEN:ダーク・フェニックス』の評価は失墜します。ディテールやシーンの繋がりを意識した構成になっていません。

レイヴン/ミスティークがジーン/ダーク・フェニックスに数十メートル跳ね飛ばされて命を落とした後、ジーン/ダーク・フェニックスの衣服に付着した血痕について問い詰められてレイヴン/ミスティークを殺害した事がX-MENに明かされますが、そもそも返り血を浴びる様な状況では無い。ストーリーを展開させる為のシーンですが、空虚な緊迫感でオーディエンスとしては鼻白んでしまう。

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『X-MEN:ダーク・フェニックス』のネタバレありストーリー

1975年に8歳のジーン・グレイはテレキネシスを使い、誤って両親を交通事故で殺害してしまう。

チャールズ・エグゼビアに迎え入れられた彼女は、交通事故の記憶を封印されて能力を制御出来る様に訓練を受ける。

そしてエン・サバ・ヌール/アポカリプスの襲撃から10年程経った1992年、X-MENは太陽フレアと思しきエネルギーによって致命的な損傷を受けたスペースシャトルを救難しに宇宙へと向かう。X-MENの一同は無事、宇宙飛行士を救い出すがジーンはエネルギーを吸収してしまい、死亡すると思われたが奇跡的に生き延びた。吸収したエネルギーは彼女のテレキネシスを増大させたが、同時にチャールズが封印した記憶も呼び起こしてしまった。制御出来ない感情の波でパニックに陥った彼女は仲間を襲い、意図せずレイヴンを殺してしまう。

暴走してしまったジーンは助けを求めてミュータントの難民が暮らす島、ジェノーシャへと逃れ、身を潜めていたエリック・レーンシャー/マグニートーを探し出す。しかし、そこへジーンの身柄確保を命じられた米国軍の部隊も訪れ、ジーンは彼らを掃討してしまう。ジーンの強大で制御不能な力を目の当たりにしたエリックは彼女に背を向け、ジーンは途方に暮れるのだった。

そんな折、ジーンの前にマーガレットと名乗る女性が現れる。彼女は姿を自在に变化させる事が出来るダバリを名乗るエイリアンのリーダーで、故郷の惑星を壊滅させたエネルギー体がジーンに宿っていると説明。

その頃、ジーンの記憶を封じて彼女を騙していた事に憤ったハンク・マッコイ/ビーストはチャールズを去ってエリックに協力を求める。しかし、チャールズとエリックーのいずれの勢力もダーク・フェニックスの人格を呼び覚ましたジーンには歯が立たず、チャールズが己の記憶をジーンに読ませる事で本来の人格を一時的に取り戻させる。周囲を傷つけてしまう己に罪悪感を感じ、宿したエネルギーをダバリに差し出そうとするジーンだが、エネルギーを抽出すればジーンは死んでしまう事が明かされる。

ジーンを死なせまいとするチャールズとエリック勢だが、ダバリにエネルギーを奪われる前に米国政府によって捕えられてしまう。確保されたミュータントは極秘の重犯罪刑務所に護送される運びとなったが、ダバリに再び襲撃される。米軍兵士では歯が立たなくなり、囚えられたミュータントもダバリ勢と闘う事となる。

チャールズは意識をジーンと共有し、宿した力を制御出来る様にすると彼女はダバリ勢を殲滅させて宇宙の彼方へと飛び去って行った。

『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011年~)はキャストが休憩中に飲んだスターバックスの紙コップが映り込んだシーンを激しく揶揄されましたが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』はそれに張り合うつもりなのかも知れない。

台詞の数々も陳腐で、顔を手で覆いながら小さく”オーマイゴッド”と囁きたくなる内容ばかりです。


映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のダーク・フェニックス
オリジナリティがストーリー、台詞、映像、描写のあらゆる面で欠けた『X-MEN:ダーク・フェニックス』

出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

レイヴン/ミスティークの逆性差別的な発言も然る事ながら、アメコミ映画の印象を悪くする在り来たりな台詞が多い。”私が暴走してしまったら、悪い事が起きるの・・・一番愛する人にも”の様に20年前であればドラマティックだった台詞が『X-MEN:ダーク・フェニックス』では随所で飛び交います。その後エリック・レーンシャー/マグニートーがウィットのある、スマートな返しをしたのだろうと思いますが、エンドクレジットが流れ始めた瞬間に忘れられる映画だったので、良く憶えていない。

『X-MEN:ダーク・フェニックス』の様に絶大な力を手にした女性を取り巻くストーリー、変幻自在なエイリアン、1990年代を舞台とした映画と言えば『キャプテン・マーベル』(2019年)が同じアメコミ映画の中でも近しい存在かも知れません。『キャプテン・マーベル』も傑作とは到底言えないエンターテインメントでしたが、間違いなく記憶に残り、評価出来るポイントも多い。この違いこそが『X-MEN:ダーク・フェニックス』が映画として欠如しているエッセンスです。

1990年代の時代設定を活用すれば、『キャプテン・マーベル』の様にノスタルジックな心情を喚起出来るし、ジョークを挟む余地も大いにあります。シェイプシフターとして登場するダバリも、『X-MEN:ダーク・フェニックス』では使い古されたアメコミ映画の教科書からコピー&ペーストした味気無い悪役に過ぎず、ユニーク性の欠片もありません。『キャプテン・マーベル』で登場したスクラルは個のキャラクターとして見る事が出来たし、ラストに向けては微かな愛着さえ感じられます。

ジェシカ・チャステインは、どの様な役柄を与えられても難なく熟せてしまうスキルが顕著な女優ですが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』ではディレクションが殆ど無かったであろう事が容易に想像出来るパフォーマンスでした。悪役である事以外に、監督から伝えてもらわないままで撮影に臨まざるを得ないとしか考えられません。

壊滅と終焉を取り巻くストーリーとして、『X-MEN:ダーク・フェニックス』はアップビートなスタイルを追従すべきでは無いかも知れないので、その点は『LOGAN/ローガン』を引き合いに出すべきとも言えますが、それでも『X-MEN:ダーク・フェニックス』への評価は変わりません。侘びしく、暗い映画ですが注がれたキャラクターへの愛情と思慮は雲泥の差。

予算さえあれば実現出来る映像美でさえマスキングし切れなかったプアなストーリーとキャラクター・ビルディングが『X-MEN:ダーク・フェニックス』の致命的な弱点の1つです。

キャストでさえ諦めムードを漂わせたパフォーマンスも無念

『X-MEN:ダーク・フェニックス』に出演したキャストと言えば、多くが10年近く前から同作のシリーズでアイコニックなキャラクターを纏った俳優陣。

『X-MEN: アポカリプス』(2016年)で新たに参画したメンバーも出演していますが、古株を含めた全員がお座なりな演技で済ませようとしている様に見受けられました。

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レイヴン/ミスティークに扮するジェニファー・ローレンスはジャンルを超えて様々な役柄を演じる事が出来る実力派女優。X-MENのメンバーとしても好演が印象的でしたが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』では課されたキャラクターに培った愛着よりも契約書と事務所に責め立てられて、致し方無くフェイスペイントに応じた様子。モチベーションを演ずる事さえ無く、意気込みを感じない『X-MEN:ダーク・フェニックス』のレイヴン/ミスティークがローレンスの素直な心持ちを語っています。

チャステインはキャラクター無きキャラクターを演じる事に奮闘している様でしたし、ジェームズ・マカヴォイのチャールズ/プロフェッサーX、マイケル・ファスベンダーのエリック/マグニートーも俳優キャリア初の大役を演じるかの如く、身が入っていない。特に『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011年)や『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014年)で感じた深みと比べてしまうと、残念極まりありません。チャールズ/プロフェッサーXは特殊な能力を持つミュータントが社会的な迫害の影響を受けて悩み、堕落して行く度に手を差し伸べて救う、謂わばX-MENの絶対的なモラルと理想を体現したキャラクターですが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』ではジーン/ダーク・フェニックスの過去や力と向き合う事なく、臭い物には蓋をする判断を下します。この描写はキャラクターを全面否定する愚行としか評せません。


映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレあり評価
早く終わってくれと願わんばかりの面持ちで出演するキャスト

出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

そして『X-MEN:ダーク・フェニックス』の名を冠するダーク・フェニックス自身、ジーン/ダーク・フェニックスを演じるソフィー・ターナー。

『ゲーム・オブ・スローンズ』のサンサ・スタークを演じて以来、その名は広く知れ渡る様になり、弱冠23歳にしてX-MENのメンバーとなったターナーのパフォーマンスが最も無念と言わざるを得ない。乱暴に言えば、映画に出演出して良いとは思えないパフォーマンスでした。ターナーが演じるジーン・グレイ/ダーク・フェニックスは原作コミックスに感じられた魅力が無く、最早全く別のキャラクターと捉えた方が良いかも知れない。ローガン/ウルヴァリンがX-MENとして存在しない作品に於いては少々難しいチャレンジとも言えますが、『X-MEN:ダーク・フェニックス』の潰滅的なパフォーマンスの言い訳としては不充分です。

『X-MEN:ダーク・フェニックス』の心臓部に巣食う毒は、ジーン/ダーク・フェニックスの破壊的な感情の末路を描こうとしるのに、感情的表現が欠落している事にあります。


映画『X-MEN: ダーク・フェニックス』のネタバレ
感情に突き動かされるプロットラインのはずが、アンドロイドの様な演技を突き通すソフィー・ターナー

出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

ターナーのジーン/ダーク・フェニックスは超能力を手にしたロボットの様で、人間的と言える側面を演じていない。少なくとも、共感の余地がある感情表現が一切無いのです。ジーン/ダーク・フェニックスを取り巻くストーリーにも関わらず、彼女が強大な力に戸惑い、敗れて闇と悪の化身に変貌して行くドラマはオーディエンスと繋がる感情的な側面が無ければ、精神を病んだバーサーカーに留まります。

『X-MEN:ダーク・フェニックス』はX-MEN映画の数々が紡いだサーガの終止符とされますが、その栄誉は『LOGAN/ローガン』に与えられるべきです。幸いにもタイムライン上は『LOGAN/ローガン』が後の未来に設定されているので、X-MENの世界では『LOGAN/ローガン』が真のラストと考える事も出来ます。

『ニュー・ミュータンツ』(2020年)が公開される頃には誰もが『X-MEN:ダーク・フェニックス』を忘れ、新たなX-MEN映画を歓迎出来る気持ちになっている事を願うばかり。『X-MEN:ダーク・フェニックス』は到底お勧め出来ない作品でした。


この映画を観られるサイト

こちらのレビューをご覧頂いても『X-MEN:ダーク・フェニックス』を観たいと思う方は6月21日に全国の劇場へ!

本当に酷い作品かどうか、確かめたら是非コメントください!

まとめ

見慣れた顔が並ぶも、期待していた様なエキサイトは得られない『X-MEN:ダーク・フェニックス』はサーガの最後に相応しくない映画。

ソフィー・ターナーは充分なポテンシャルを持っているものの、引き出せなかったキンバーグ監督の責任は大きい。

ストーリーやメッセージはどうでも良く、ジェネリックなアメコミ映画を大スクリーンで楽しむ程度で良いなら悪くは無いかも知れませんが、1800円支払う価値があるとは思えない内容です。『X-MEN:ダーク・フェニックス』の後に6月14日公開予定の『メン・イン・ブラック : インターナショナル』(2019年)を鑑賞したら、記憶を消してくれるかも。

X-MEN: ダーク・フェニックスの映画ネタバレ
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