X-MEN: ダーク・フェニックス
監督:サイモン・キンバーグ
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ソフィー・ターナー、タイ・シェリダン、アレクサンドラ・シップ、コディ・スミット=マクフィー、エヴァン・ピーターズ、ジェシカ・チャステイン 他
言語:英語
リリース年:2019
評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox『参照:https://www.imdb.com』
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もくじ
X-MEN主要メンバーと能力
超人的な知能に加え、強力なテレキネシスとテレパシー能力を持つミュータント。10代の頃に能力に目覚めるが、当時は頭の中で様々な声が聞こえてしまい、気が狂ってしまったものと悩んでいた。尚、原作コミックスでは能力をコントロール出来ず、ストレスが重なって禿げ上がってしまっているが、映画シリーズでは『X-MEN: アポカリプス』(2016年)でエン・サバ・ヌール/アポカリプスに肉体を乗っ取られる儀式で頭髪を失っている。人類とミュータントの共存と平和を願い、『恵まれし子らの学園』を開設し、ミュータントの教育と能力開発に尽力するが、人類を屡々敵視するエリック・レーンシャー/マグニートーと対立する事も多い。
特にエリック/マグニートーとは1962年に共闘した際、エリック/マグニートーが跳ね返した銃弾がチャールズ/プロフェッサーXの脊髄に当たり、下半身不随となってしまうなど因縁の仲にある。その為、車椅子が無いと移動出来ない上、身体的な戦闘能力は全く無いが他者の心を読み取ったり、思考や行動を操り、幻影を見せる事も出来る為、強力なミュータントに乗り移って闘わせる事も出来る。使用者の脳波を大幅に増幅させる装置セレブロを着用する事で能力が増大し、地球上の人間はおろかミュータントを探知し、場所を特定したり意思疎通を図ったりする事が出来る。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
マックス・アイゼンハートとして生まれる。第二次世界大戦中にポーランドの収容所に幽閉されるも、金属を操る能力に目覚めて収容所から逃れる。この間、ミュータントでナチス党の科学者クラウス・シュミット/セバスチャン・ショウの監視下に置かれ、エリック/マグニートーの母親を目の前で銃殺して怒りによって能力を増幅させるなど卑劣な手段でエリック/マグニートーを亶にしていた。
『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(2011年)でクラウス/セバスチャンへの復讐を果たした後は、ミュータントが人類を支配すべきとの思想を持って行動する様になる。チャールズ/プロフェッサーXを始め、テレパスによるマインドコントロールを避ける為、シュミットが使っていた脳波を跳ね返すヘルメットを着用して闘う。付近に金属さえあれば非常に高い戦闘能力を誇り、血中の鉄分をも人体から直接抽出する事や野球スタジアムを宙に浮かせて移動させる事さえ出来てしまうので通常の銃弾や武器では太刀打ち出来ない。ジョン・F・ケネディ大統領暗殺容疑でペンタゴンに収容された際も金属を一切含まない部屋に閉じ込められ、警備員もプラスティックや硝子の武器のみ携行していた。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
出生や生い立ちは不明だが、体内の細胞を自在に变化させて人間や動物の外見を完全に再現する事が出来るミュータント。但し、擬態は身体的な特徴に限り、ローガン/ウルヴァリンに化けた際は拳の爪まで再現したが、チャールズ/プロフェッサーXの様にテレパシーやテレキネシスまで再現する事は出来ない。擬態していない姿は全身の肌が青く、鱗の様な模様で包まれていて瞳は鮮やかな黄色だが、それ以外は概ね人間の女性に近い身体的特徴を有している。戦闘能力は高く、近接戦も得意で拳銃の扱いにも慣れているが、擬態を駆使して敵を油断させて不意打ちを繰り出す事も多い。
指紋や声色まで完璧に真似てしまう為、偵察も非常に得意。『X-MEN: フューチャー&パスト』(2014年)では、レイヴン/ミスティークの遺伝子を解析して、対ミュータント兵器センチネルが開発されてミュータントは迫害と絶滅の危機に直面する事となる。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
1880年代にカナダのアルバータ州に生まれる。能力の覚醒に伴って拳から骨の爪を出す事が出来る様になり、異常な速度で身体的な損傷を回復させるヒーリング・ファクターを持つ事が発覚する。成人後は常人より格段に遅いスピードで老化し、殆どの毒や病原菌に対する免疫と耐性を持つ。その為、拳銃やナイフで常人と同じく身体は傷付き、痛みも感じるが数秒で傷が完治してしまうので、致命傷を負わせる事は出来ない。『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013年)では第二次世界大戦宙に長崎県に投下された原子爆弾の爆風にも耐えてみせた。生涯を通じて様々な戦争に兵士として参加し、その超人的な能力に興味を持ったウィリアム・ストライカーに騙されて地球上で最も強固な金属アダマンチウムを全身に注入される人体実験を施されてしまう。拳から突き出る爪もアダマンチウムでコーティングされて一層強靭な武器になる。
基本的に一匹狼気質で、チャールズ/プロフェッサーXにX-MENとしてリクルートされるまでは”ローガン”と名乗って国中を転々と放浪していた。X-MEN参画後はジーン・グレイ/ダーク・フェニックスに惹かれるが、ジーン/ダーク・フェニックスの暴走に際しては彼女を殺して世界を救う事になる。
X-Men Origins: Wolverine(2009) ©20th Century Fox『参照:https://www.imdb.com』
原子レベルで湿度や温度、気候のあらゆる側面を操る能力持った女性ミュータント。雨や霧を催したり、雷を起こして自在に操るなど高い戦闘能力を誇る。水分子を水素と酸素に電気分解して水中でも呼吸する事が出来るなど、その能力の活用方法は多岐に亘る。原作コミックスではドクター・ストレンジに通ずる魔術師を祖先に持つ為、魔術的な能力も備えている。X-MENとしてはリーダー的な存在で、チャールズ/プロフェッサーXに”ストーム”と名付けられる。
映画シリーズでは描かれないが、原作コミックスではワカンダ王国のティ・チャラ/ブラックパンサーと結ばれ、ワカンダ王国の女王となる。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
グレイ家の次女として誕生し、原作コミックスでは愛情に溢れた家庭環境で育つ。親友が交通事故で死亡した一件でテレパシー能力に目覚め、親友とテレパシーで意識を繋いでしまった事でジーン/ダーク・フェニックス自身も命を落としかける。昏睡状態で一命を取り留めるも、絶望した両親は地上で最も強力なテレパスとして名高いチャールズ/プロフェッサーXを頼る。その後はチャールズ/プロフェッサーXの教え子としてテレパシーとテレキネシスを操れる様に鍛錬を重ね、X-MENのメンバーとなる。その後はスコット・サマーズ/サイクロップスと恋仲になるが、ローガン/ウルヴァリンとも惹かれ合う。
ジーン/ダーク・フェニックスとフェニックス・フォースの邂逅は『X-MEN: ダーク・フェニックス』でも描かれる通り、宇宙の救出任務中に絶体絶命のジーン/ダーク・フェニックスがフェニックス・フォースを取り込む事に端緒を開く。原作コミックスでは致死量の放射線を浴びてしまったジーン/ダーク・フェニックスを救うべく、フェニックス・フォースがジーン/ダーク・フェニックスを取り込んで、実際のジーン/ダーク・フェニックスは死んでしまう。『X-MEN: ダーク・フェニックス』では人格レベルでフェニックス・フォースと共存しているが、悪に侵されたフェニックス・フォースが暴走し、ダーク・フェニックスとして潰滅的な破壊力を放ってしまう。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
眼球の細胞が太陽光を吸収し続け、そのエネルギーで他次元へのポータルを開いてオプティック・ブラストと呼ばれるレーザー光を放つ事が出来る。鋼をも容易に溶かす威力を持つレーザー光で、強度を最大限まで引き出すと山を吹き飛ばす事も出来る。レーザー光を放つポータルはスコット/サイクロップスのコントロールには及ばず、瞼を閉じるかルビー・クォーツで遮断するしか無い。その為、ルビー・クォーツ製のレンズを着用しなければ周囲を破壊せずに直視する事が出来ず、日常的にレンズを着けて生活している。
戦闘用のバイザーはレーザーの強度や光域を制御する事が出来、鏡面に反射させて標的を狙うなど、スコット/サイクロップス自身の長けた空間認知能力と合わさる事でその真価を発揮する。この能力は幼少期に両親を亡くした事によるトラウマが引金になったとされ、アレックス・サマーズ/ハヴォックを弟に持つ。ジーン/ダーク・フェニックスとは恋仲にあるが、『X-MEN: ファイナル ディシジョン』(2006年)では復活したジーン/ダーク・フェニックスに殺されてしまう。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
原作コミックスではレイヴン/ミスティークとアザゼルの息子だが、映画シリーズでは名言されていない。レイヴン/ミスティークと同様、青い肌を持つが擬態能力は無く、思春期にテレポート能力を発現する。レイヴン/ミスティークに捨てられた後、サーカスの団員として幸せな日々を送り、持ち前の身体能力を活かしてアクロバットを得意とするパフォーマンスで人気を博した。
3km程度が限界だが、自身と身に付けた衣類、または一定数の生物や物体もテレポートさせる事が出来る。3kmを越える範囲でのテレポートは大幅に体力を奪う事になるが、原作コミックスでは600kmを越える移動を行った事もあった。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
天才的な知能指数を持つが、生まれつき手足がゴリラの様に異様に長く大きい。これによって超人的な身体能力を持ち合わせ、近接戦を得意とする上、地を伝う電気信号を素肌で感じ取れる程手足の神経が発達している。しかし、ハンク/ビースト自身は己の外見にコンプレックスを持っており、その頭脳を活用してミューテーションを沈静化する血清を開発して自身に注入したが、皮肉にもハンク/ビーストのミューテーションを増幅させる結果となり、野獣の様な風貌になってしまう。
『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ではレイヴン/ミスティークと惹かれ合う描写も見られ、『X-MEN: ダーク・フェニックス』でもその片鱗が窺える。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
エリック/マグニートーの実息で超人的な速度で動く事が出来るミュータント。身体的な行為に限らず、思考も音速以上のスピードで回す事が出来る。原作コミックスではアイソトープEと名付けられた血清によって、マッハ10に達するスピードで能力を発揮する事が出来る様になる。超速を駆使して水上や壁面を疾走する事に加え、サイクロン級の風を巻き起こす事も出来る。
せっかちな性格だが、常人を大幅に超越したスピードで生活出来てしまう事に起因している。X-MENを描いた映画シリーズでは語られないが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)で登場したワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチを双子の妹に持つ。
X-Men: Apocalypse(2016) ©20th Century Fox『参照:https://www.ign.com』
原作コミックスでの本名はアンナ・マリー・ラブー。時を経て様々な能力を発現したミュータントだが、最も顕著な能力は素肌で触れ合った相手の身体的能力の模倣と生命力の吸収。この為、マリー/ローグに触れられると、身体が弱り、場合によっては昏睡状態に陥ってしまう事さえある。『X-メン』で初登場し、キスを交わした彼氏が痙攣し、昏睡してしまった事で能力の覚醒に気付く。
ローガン/ウルヴァリンとは父娘の様な関係にあり、悩みを零したり助けられたりしている。マリー/ローグの能力は本人が制御出来ず、誤って触れた場合でも意図せず相手を弱らせてしまう事がある。
X-Men: Days of Future Past(2014) ©20th Century Fox『参照:https://www.syfy.com』
空気中の水分を凍らせる事に加え、自身の身体も自在に硬い氷に変化させる事が出来るミュータント。トレーニングを経て、氷の鎧を纏ったり、武器を瞬時に創り上げる域に到達し、足元に氷の板を出現させて高速で移動する事も出来る。この能力によって、氷点を大幅に下回る環境でも問題無く生命機能を維持する事が出来る。
映画シリーズではマリー/ローグと惹かれ合うも、最終的にはキャサリン・”キティ”・プライド/シャドウキャットと恋仲になる。
X-Men: Days of Future Past(2014) ©20th Century Fox『参照:https://www.collider.com』
物質の位相を操るフェージング能力を持ち、壁や物体をすり抜ける事が出来るミュータント。キティ/シャドウキャットが触れた物体の位相も変化させる事が出来るので、触れている間は彼女と同じく物体をすり抜ける事が出来る。但し、物体をすり抜けている間は空気分子を取り込んで呼吸をする事が出来ないので、呼吸を止められる距離のみすり抜けられる事になる。その他、超人的な知能指数を誇り、殊コンピューターに於いてはエキスパートである。
『X-MEN: フューチャー&パスト』では対象の意識を過去に送り込む能力を得ており、ローガン/ウルヴァリンを1970年代に送り出してセンチネルの開発計画を阻止させた。
X-Men: Days of Future Past(2014) ©20th Century Fox『参照:https://www.collider.com』
X-MENのタイムライン解説
X-MENに纏わる映画シリーズは『X-MEN: ダーク・フェニックス』で幕を閉じるまで、13作品に亘って壮大なストーリーを描いて来ましたが、作品毎に時代設定が異なる事も屡々あり、『X-MEN: フューチャー&パスト』でローガン/ウルヴァリンが過去に戻って歴史を変えた事もあって時間の流れが複雑になっています。キャストの入れ替わりも少なく無く、時系列に沿ってストーリーを追う事は困難ですが、映画シリーズを通したイベントを整理すると流れは次の通りなので是非参考にしてください。
紀元前36世紀
『X-MEN: アポカリプス』で描かれた世界初にして最強のミュータント、エン・サバ・ヌール/アポカリプスの魂を移植する儀式が執り行われた頃。魂の転移は成功したが、謀反によってピラミッドの奥底で瓦礫に埋まり、エン・サバ・ヌール/アポカリプスは長い眠りにつく事になります。
1845年
『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』(2009年)で若きジェームズ・ハウレット(後のローガン/ウルヴァリン)が、父親がグランドキーパーのトーマス・ローガンに殺害される様子を目撃してしまい、激昂したジェームズはミュータントとしての能力に目覚めた頃。覚醒したジェームズは拳から骨の鉤爪を突出させ、ローガンを怒りに任せて殺すが死に際にローガンが己の実父である事を知ります。
1863年
ローガンに名を変えたジェームズが、異母兄弟のビクター・クリード/セイバートゥースと肩を並べて様々な戦争で活躍し始める頃。南北戦争や第一次世界大戦の前線で兵士として闘うが、ヒーリング・ファクターによって銃撃を物ともせず1939年の第二次世界大戦まで生き存える。
1939年
第二次世界大戦が勃発。この時点でもローガン/ウルヴァリンとビクター/セイバートゥースは生存し、戦争に兵士として参画。
1944年
幼少のエリック・レーンシャー/マグニートーはポーランドの収容所に両親と共に連行され、金属を操る能力に目覚める様子が『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』で描かれました。ナチス党の科学者クラウス・シュミット/セバスチャン・ショウに注目され、以降は青年期をクラウス/セバスチャンの下で過ごすも、どの様な扱いを受けたのかは定かではありませんが拷問や人体実験の対象となった事が想定されます。
時を同じくして少年のチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXは、母親に擬態して家屋の食物を漁っていたレイヴン・ダークホルム/ミスティークと出会います。レイヴン/ミスティークを受け入れ、チャールズ/プロフェッサーXは彼女に友情を誓い、二人は成人するまで一緒に暮らす事になります。
1945年
長崎県に原爆が投下され、第二次世界大戦が終戦を迎えた頃。『ウルヴァリン: SAMURAI』ではローガン/ウルヴァリンは日本に渡っており、原爆の投下に居合わせた青年将校の矢志田市朗を爆発から救います。数十年後に矢志田がローガン/ウルヴァリンのヒーリング・ファクターを狙う事になるとは露知らず、感謝の印にローガン/ウルヴァリンは日本刀を渡されてその場を後にします。
1962年
成人したエリック/マグニートーはクラウス/セバスチャンへの復讐に燃えて元ナチス党の人間を次々と襲撃し、チャールズ/プロフェッサーXもクラウス/セバスチャンが『ヘルファイア・クラブ』を名乗る危険なミュータントの集団を率いている事を突き止めて調査を始める。クラウス/セバスチャンは第三次世界大戦を引き起こし、それを皮切りにミュータントが支配する世界を実現する事を目論んでおり、『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』ではチャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートーが協力して『ヘルファイア・クラブ』に立ち向かうストーリーが描かれます。
『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』のラストで明らかになる通り、エリック/マグニートーによってチャールズ/プロフェッサーXが歩けなくなるのもこの時。クラウス/セバスチャンの野望を阻止した後、エリック/マグニートーはミスティークやアザゼルと行方を暗まし、ミュータントが人間を支配する世界を築くべく水面下で動き始め、チャールズ/プロフェッサーXは『恵まれし子らの学園』を開設。
1963年
ベトナム戦争が激化し、『恵まれし子らの学園』の生徒も徴兵される。これによって学園はほぼ閉鎖に追い込まれ、チャールズ/プロフェッサーXの精神状態も悪化し始めたと考えられる頃。また、エリック/マグニートーが誤ってジョン・F・ケネディを殺害してしまったのが事実だとすると、エリック/マグニートーがペンタゴンに収容されたのもこの時だと思われます。
1973年
『X-MEN: フューチャー&パスト』で描かれるストーリーは主に1973年の出来事に則します。トラスク・インダストリーズの創始者で科学者のボリバー・トラスクがミスティークの遺伝子を入手し、2023年にはミュータントを殲滅させてしまうセンチネルの開発を本格化させる運命の分岐点ともなった年です。『X-MEN: フューチャー&パスト』によってローガン/ウルヴァリンがセンチネルの開発を阻止する事で、ミュータントが人類に迫害されない未来となる新たなタイムラインを生み出します。
一方で未来では無く、『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』が描く実際にこの時代を生きたローガン/ウルヴァリンはベトナム戦争に参加した後、ウィリアム・ストライカーによってチームXにリクルートされます。ビクター/セイバートゥースと共にチームXに加わりますが、その非人道的なやり方に異を唱えてローガン/ウルヴァリンは脱退。
1979年
『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』でチームXを脱したローガン/ウルヴァリンはケイラ・シルバーフォックスと共にカナダで静かに暮らしていましたが、ケイラはストライカーに脅されてローガン/ウルヴァリンを監視していたミュータントである事が明かされます。その後、ローガン/ウルヴァリンがストライカーの計略によって全身の骨格をアダマンチウムでコーティングされるのもこの頃。そして『恵まれし子らの学園』が再オープンしたのも1979年になります。
1983年
『X-MEN: フューチャー&パスト』によって発生した新たなタイムラインで語られる『X-MEN: アポカリプス』のストーリー。『X-MEN: フューチャー&パスト』で行方を暗ませたエリック/マグニートーはポーランドに逃れ、過去を捨てて妻子に恵まれた静かな人生を送っていました。しかし、エン・サバ・ヌール/アポカリプスの覚醒によって世界は混沌に包まれてしまい、エリック/マグニートーは妻子を亡くしてしまいます。チャールズ/プロフェッサーXもエン・サバ・ヌール/アポカリプスの新たな身体として身を狙われ、X-MENは絶体絶命に追い込まれますがジーン/ダーク・フェニックスにより辛うじてエン・サバ・ヌール/アポカリプスを敗ります。
『X-MEN: フューチャー&パスト』のラストで、1973年のローガン/ウルヴァリンはウィリアム・ストライカーに扮したミスティークに捕らわれた事が示唆されますが、『X-MEN: アポカリプス』では結局ウェポンXの実験台にされてしまったローガン/ウルヴァリンが登場します。この時、ローガン/ウルヴァリンの遺伝子をエセックス社(後のトランシジェン社)が回収する様子が描かれる為、2029年に存在が明らかになるローラやX-24の開発に向けて動き出している事が分かります。
1980年代後半
X-MENのメンバーをリクルートしていたチャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートーは幼いジーン・グレイ/ダーク・フェニックスと出会います。『X-MEN: ファイナル ディシジョン』のオープニングで描かれたシーンです。
1992年
『X-MEN: ダーク・フェニックス』のストーリー。宇宙からスペースシャトルの救難信号を受信し、救出に向かったX-MENですが、ジーン/ダーク・フェニックスだけ正体不明のエネルギー体を取り込んで、フェニックス・フォースを手にします。その力を狙うダバリを掃討し、ジーン/ダーク・フェニックスは地球を離れて彼方へと旅立ちます。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』の矛盾点としては、同一のタイムラインに存在している可能性が高い『X-MEN: アポカリプス』で、ジーン/ダーク・フェニックスがフェニックス・フォースと思しき能力でエン・サバ・ヌール/アポカリプスを焼き払った事になります。1983年時点でジーン/ダーク・フェニックスにフェニックス・フォースが宿っていた事になりますが、原作コミックスでは幼い頃にフェニックス・フォースの一部を取り込んで成人後に発現する事になるので、その可能性も捨て切れない。1992年に宇宙でジーン/ダーク・フェニックスが邂逅したエネルギー体はフェニックス・フォースの全てだったのか、明確では無いので矛盾を解消する糸口は推測の域を出ません。
2005年
米国政府が”ミュータント登録法案”を推し進め、それに反抗したエリック/マグニートーが全人類をミュータントに変化させようとする『X-メン』のストーリーが描かれた2005年。チャールズ/プロフェッサーXにリクルートされ、X-MENの一員となったローガン/ウルヴァリンがマリー/ローグと関係を築き始めます。野望を打ち砕かれたエリック/マグニートーはプラスティック製の監獄に収容される結果となりました。
2006年
カート/ナイトクロウラーが米大統領の暗殺を試みたオープニングで幕を開けた『X-MEN2』。X-MENはアルカリ湖のダムにウィリアム・ストライカーが秘密裏に開発したダーク・セレブロを発見し、ストライカーが全世界のミュータントを一掃しようと目論んでいる事が明かされます。他方でミスティークの協力で脱獄を果たしたエリック/マグニートーは、ダーク・セレブロを人類の抹殺に利用しようと考えます。X-MENはストライカーとエリック/マグニートーの姦計を打ち破りますが、ジーン/ダーク・フェニックスがアルカリ湖の濁流に飲まれて消息不明となってしまいます。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』とは異なるタイムラインでのストーリーと考えられる為、ジーン/ダーク・フェニックスはこの時点では未だフェニックス・フォースに目覚めていないと考えられます。
2007年
ジーン/ダーク・フェニックスを『恵まれし子らの学園』に迎え入れて大凡20年。『X-MEN: ファイナル ディシジョン』ではミュータントの能力を無力化し、事実上常人化させる薬品を巡る諍いを描きます。エリック/マグニートーは逃亡の最中、『ブラザーフッド』を名乗るミュータントによるテロリスト集団を結集し、薬品の元となるミュータント、”ジミー”を狙います。その頃、スコット/サイクロップスはジーン/ダーク・フェニックスを失った悲しみの余り彼女が消息を絶ったアルカリ湖を再び訪れますが、そこへジーン/ダーク・フェニックスが姿を現します。二人はキスを交わしますが、ジーン/ダーク・フェニックスはスコット/サイクロップスを殺害し、目覚めたフェニックス・フォースに乗っ取られた身体が暴走を始めてしまう。チャールズ/プロフェッサーXをも殺してしまいますが、最後はローガン/ウルヴァリンに討たれてジーン/ダーク・フェニックスは死亡します。
薬品を追っていたエリック/マグニートー勢もジーン/ダーク・フェニックスの凶行を被り、エリック/マグニートー自身は混乱に乗じて薬品を注入されて能力を失います。しかし、薬品の効き目は永続的で無い事が分かりエリック/マグニートーは徐々に能力を取り戻し、チャールズ/プロフェッサーXはジーン/ダーク・フェニックスに殺害される直前、意識を別の身体に転移させてその精神は生き延びていた事が明かされます。
2013年
ジーン/ダーク・フェニックスを殺してしまった罪悪感とトラウマから、俗世を離れてカナダの山奥に身を潜めていたローガン/ウルヴァリンを、矢志田産業の総裁となった矢志田市朗が探し出し、日本に誘い込んだ『ウルヴァリン: SAMURAI』の出来事が起きた2013年。1945年の原爆から己を救ったローガン/ウルヴァリンを不老不死の悪夢から救う事を口実に、ローガン/ウルヴァリンのヒーリング・ファクターを奪い取ろうとする矢志田を仆し、ユキオ(雪緒)と共にローガン/ウルヴァリンは日本を去ります。
2014年
『ウルヴァリン: SAMURAI』の出来事から1年。経緯は不明ですが、ユキオ(雪緒)と別れたローガン/ウルヴァリンはチャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートーにリクルートされ、ボリバー・トラスクが開発したセンチネルと闘うべくX-MENに戻ります。
2023年
センチネルとの闘いがミュータントの敗北に終わりを見せ始め、絶望と闇に包まれた世界が現実となります。『X-MEN: フューチャー&パスト』で描かれるローガン/ウルヴァリンのタイムトラベルが主軸となってストーリーが進みます。1973年のミスティークによるボリバー・トラスクの暗殺を未然に防ぐ事に成功したローガン/ウルヴァリンによって、センチネルの開発は中断され、最後はミュータントと人類が共存する別の未来も派生した事が示唆されます。
2029年
『LOGAN/ローガン』が描く世界。老いてアルツハイマーを患い、発作を起こす様になってしまったチャールズ/プロフェッサーXですが、世界最高峰のテレパスによる発作は致命的な影響を周囲に及ぼし、『恵まれし子らの学園』に住まうミュータントを誤って皆殺しにしてしまった後のストーリーです。ローガン/ウルヴァリンはチャールズ/プロフェッサーXの面倒を見ながら身を潜めますが、ローガン/ウルヴァリンの遺伝子を改良して兵器として人造ミュータントを開発しているトランシジェン社の目論見を密告されます。常人に比べて格段に遅く老いるとは言え、既にヒーリング・ファクターが弱ったローガン/ウルヴァリンですが、実験台となっていた人造ミュータントの少女、ローラをトランシジェン社から護るべく、逃避行を始めます。
チャールズ/プロフェッサーXは追手に殺害され、ローガン/ウルヴァリンもローラや実験台となっていた子供のミュータントたちを、トランシジェン社の手が届かないカナダへと渡らせるべく、国境付近で命懸けの激闘を繰り広げます。自身のクローンであるX-24と死闘の末、ローラに看取られてローガン/ウルヴァリンを息を引き取ります。残された子供のミュータントたちは新たな未来を切り拓くべく、カナダへと向かうのでした。
『LOGAN/ローガン』では2029年から過去25年間、ミュータントが誕生していない旨が示唆されるので2023年の『X-MEN: フューチャー&パスト』以前も暫くミュータントが生まれていない事になってしまいます。その為、『LOGAN/ローガン』は第三のタイムラインでの出来事と考えた方が自然と考えています。
X-MENの映画シリーズを観るべき順番
公開年に沿わず、作中のタイムラインに即してストーリーを追いたい場合は次の順番で映画を鑑賞される事をお勧めしますが、『X-MEN: ダーク・フェニックス』の内容に必要な最小限の知識を得るだけなら、『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』、『X-MEN: フューチャー&パスト』、『X-MEN: アポカリプス』の3作品を鑑賞頂ければ良いと思います。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』鑑賞後にシリーズを観続けると、タイムラインの分岐によって混乱しかねないのでその点は要注意です。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』本編の解説
ストーリーの振り返り
1975年に8歳のジーン・グレイ/ダーク・フェニックスはテレキネシスを使い、誤って両親を交通事故で殺害してしまう。
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXに迎え入れられた彼女は、交通事故の記憶を封印されて能力を制御出来る様に訓練を受ける。
そしてエン・サバ・ヌール/アポカリプスの襲撃から10年程経った1992年、X-MENは太陽フレアと思しきエネルギーによって致命的な損傷を受けたスペースシャトルを救難しに宇宙へと向かう。X-MENの一同は無事、宇宙飛行士を救い出すがジーン/ダーク・フェニックスはエネルギーを吸収してしまい、死亡すると思われたが奇跡的に生き延びた。吸収したエネルギーは彼女のテレキネシスを増大させたが、同時にチャールズ/プロフェッサーXが封印した記憶も呼び起こしてしまった。制御出来ない感情の波でパニックに陥った彼女は仲間を襲い、意図せずレイヴン/ミスティークを殺してしまう。
出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com』
暴走してしまったジーン/ダーク・フェニックスは助けを求めてミュータントの難民が暮らす島、ジェノーシャへと逃れ、身を潜めていたエリック・レーンシャー/マグニートーを探し出す。しかし、そこへジーン/ダーク・フェニックスの身柄確保を命じられた米国軍の部隊も訪れ、ジーンは彼らを掃討してしまう。ジーン/ダーク・フェニックスの強大で制御不能な力を目の当たりにしたエリック/マグニートーは彼女に背を向け、ジーン/ダーク・フェニックスは途方に暮れるのだった。
そんな折、ジーン/ダーク・フェニックスの前にマーガレットと名乗る女性が現れる。彼女は姿を自在に变化させる事が出来るダバリを名乗るエイリアンのリーダーで、故郷の惑星を壊滅させたエネルギー体がジーン/ダーク・フェニックスに宿っていると説明。
その頃、ジーン/ダーク・フェニックスの記憶を封じて彼女を騙していた事に憤ったハンク・マッコイ/ビーストはチャールズ/プロフェッサーXを去ってエリック/マグニートーに協力を求める。しかし、チャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートーのいずれの勢力もダーク・フェニックスの人格を呼び覚ましたジーン/ダーク・フェニックスには歯が立たず、チャールズ/プロフェッサーXが己の記憶をジーン/ダーク・フェニックスに読ませる事で本来の人格を一時的に取り戻させる。周囲を傷つけてしまう己に罪悪感を感じ、宿したエネルギーをダバリに差し出そうとするジーン/ダーク・フェニックスだが、エネルギーを抽出すれば彼女は死んでしまう事が明かされる。
ジーン/ダーク・フェニックスを死なせまいとするチャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートー勢だが、ダバリにエネルギーを奪われる前に米国政府によって捕えられてしまう。確保されたミュータントは極秘の重犯罪刑務所に護送される運びとなったが、ダバリに再び襲撃される。米軍兵士では歯が立たなくなり、囚えられたミュータントもダバリ勢と闘う事となる。
チャールズ/プロフェッサーXは意識をジーン/ダーク・フェニックスと共有し、宿した力を制御出来る様にすると彼女はダバリ勢を殲滅させて宇宙の彼方へと飛び去って行った。
ヴークとダバリ
『X-MEN: ダーク・フェニックス』に登場したシェイプシフター、ダバリとジェシカ・チャステイン演じるリーダーのヴーク。
1963年刊行のコミックスで、サブマリナーと手を組んでアベンジャーズに対抗するストーリーに初めて登場したエイリアンがダバリです。このエピソードでは照射すると対象を石化してしまうレーザーを悪用し、アベンジャーズを次々と石に変えて行く様子が描かれました。ヴークも事実上同じエピソードに登場しますが、キャプテン・アメリカに名を問われると、地球人の舌では発音出来ない名だと言って明かさず。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』と同様に、原作コミックスでもフェニックス・フォースに因縁のあるエイリアンで、故郷の惑星はダーク・フェニックスに破滅させられ、偶然惑星を離れていたヴークは巻き込まれずに生き延びます。
出典:”Avengers Vol. 1 #4(1964) ©Marvel Studios”『参照:https://www.screencrush.com』
故郷と民を失った事で、ダーク・フェニックスに復讐を誓ったヴークは、パワード・スーツを開発して”スター・ハンマー”のコードネームを名乗り、エネルギーを取り込んだジーン/ダーク・フェニックスに襲い掛かります。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』ではスーツではなく、フェニックス・フォースを直接吸収してコントロールしようとするヴークですが、ジーン/ダーク・フェニックスによって塵と化してしまいます。原作コミックスでは、ジーン/ダーク・フェニックスのテレパシー能力に惑わされ、ヴークの襲撃は失敗に終わりますが再び地球に戻って報復を試みます。この時はもう一人のフェニックスとして知られるジーン/ダーク・フェニックスの娘である、レイチェル・アン・サマーズ/フェニックスを狙いますが、レイチェル/フェニックスが所属するチーム『エクスカリバー』によって、ダバリが生存する別次元へと送り込まれて復讐劇は幕を閉じます。
ヴークとダバリの残党は原作コミックスと『X-MEN: ダーク・フェニックス』で大きく異なる末路を迎え、原作コミックスと比べてダークなエンディングである事は驚きです。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』のイースターエッグ
恋はフェニックス
1975年の回想シーンで幼いジーン/ダーク・フェニックスが両親の車に乗って事故を引き起こすシーン。車内で掛かっている音楽に注目すると、ジミー・ウェッブの『恋はフェニックス』である事が分かります。原題は“By The Time I Get To Phoenix”で、『X-MEN: ダーク・フェニックス』のタイトルとの関連性は無論、ジーン/ダーク・フェニックスがラジオ局をテレキネシスで変えようとする行為にも、彼女自身がフェニックス(Phoenix)に到達(Get To)したく無い、即ち避けたい意思が暗示されています。
ダズラーのカメオ
ジーン/ダーク・フェニックスとスコット/サイクロップスがキャンプに出掛けるシーンでは、様々なミュータントが登場しますが中でもハルストン・セイジ演じるアリソン・”アリ”・ブレア/ダズラーは初の実写化。
アリソン/ダズラーは原作コミックスでもダーク・フェニックスのサーガに初登場を果たしており、様々な音エネルギーを光エネルギーに変換する能力を持ったミュータントです。能力は中学時代に発現し、中学校のイベントでシンガーとして出演すると音楽と共にアリソン/ダズラー自身が発光する事で初めてミュータントとしての能力を発揮しますが、当時は誰もが演出の一環だと考えており、アリソン/ダズラー自身がミュータントである事を公表するまでは、世間に気付かれる事はありませんでした。ストロボ効果の様に断続的な光や、太陽の光に近い強力な光を自在に放つ事が出来るので戦闘においては敵の方向感覚を狂わせて不意打ちを駆使するスタイルを得意とします。レーザー光に近い光線を放つ事も出来る為、銃弾の様な物体からエネルギー波まで跳ね返すレーザーの盾を発生させたり、ホログラム映像を投影する事も出来ます。
出典:”Dark Phoenix(2019) ©20th Century Fox”『参照:https://www.cbr.com』
アリソン/ダズラー自身の眼球は偏光効果を持ち、己が放つ光に惑わされる事はありません。魅力的なキャラクターですので、今後再登場を果たすのか期待が高まります。
犬のルーナ
ヴーク扮するマーガレットの邸宅にて、ルーナと名付けられた犬が登場します。
ルーナと言えば有り触れた名前の様ですが、X-MENに鑑みると『X-MEN: ダーク・フェニックス』にも登場するピエトロ・マキシモフ/クイックシルバーの娘であるルーナ・マキシモフへのコールバックと考えられます。
ルーナはピエトロ/クイックシルバーとクリスタルの間に生まれ、月面で誕生した事からその名がつきましたが、インヒューマンズ(『キャプテン・マーベル』にも登場したクリー人が遺伝子改造で造り出した種族)のクリスタルとミュータントのピエトロ/クイックシルバーの能力が相殺し合って、ルーナ自身は能力を持たない通常の人間。これに激しく落胆したピエトロ/クイックシルバーですが、数年後にインヒューマンズの能力を覚醒させるテリジェン・ミストに曝された事でルーナは見る相手の感情を色として可視化する能力を取得します。
ビショップ・パワー
ニューヨーク市内の小さな町、レッドフックを訪れたジーン/ダーク・フェニックス。幼少時代に育った町で父親が生きていた事を知ってしまった彼女をX-MENが連れ帰ろうとするシーンでピエトロ/クイックシルバーの背後に注目すると、英字で”BISHOP POWER(ビショップ・パワー)”と印字された商用トラックが見えます。
これは『X-MEN: フューチャー&パスト』で登場したあらゆるエネルギーを吸収して放出出来るミュータント、ルーカス・ビショップ/ビショップへのオマージュ。
ジェノーシャとは
ジーン/ダーク・フェニックスがエリック/マグニートーを求めて辿り着いた島。原作コミックスではエリック/マグニートーがミュータントの独立国家として造り上げた国で、ジェノーシャと名付けられています。
エリック/マグニートーが『X-MEN: アポカリプス』で地中と地上の金属を全て粉砕して地球を滅ぼそうとした時の残骸を活用した事を示唆する様に、島中の建造物は全て金属や船のパーツで造られています。
フェニックス・フォースもシェアリング
アベンジャーズとX-MENの激闘を描いた2012年刊行の『アベンジャーズ vs X-MEN』へのコールバックと見られる、ヴークとジーン/ダーク・フェニックスがフェニックス・フォースを一瞬だけ共有するシーン。
『アベンジャーズ vs X-MEN』ではフェニックス・フォースが地球に飛来している事が確認され、ホープ・サマーズに取り込まれますがハンク・ピムと共同開発したフェニックス・キラー・アーマーを纏ったトニー・スタークがディスラプターでフェニックス・フォースを5つに分裂させてしまい、スコット/サイクロップス、サブマリナー、エマ・フロスト、ピーター/コロッサス、イリアーナ/マジックに移ります。『フェニックス・ファイブ』を名乗り、5人はアベンジャーズを容易に一蹴してしまう。
フェニックス・フォースはこの様に同時に複数の人物の間で共有される事も出来る事を示唆した描写となっています。
ジーン・グレイの学園
ジーン/ダーク・フェニックスが地球を去った後、『恵まれし子らの学園』はジーン・グレイの名を以て改名されますが、これは原作コミックスへのオマージュ。
原作コミックスではローガン/ウルヴァリンが学園を新たに”Jean Grey School for Higher Learning”、直訳すると『ジーン・グレイ高等学園』に改名する様子が描かれるので、『X-MEN: ダーク・フェニックス』には登場しないローガン/ウルヴァリンの存在も意識させる意図があるとも取れます。
Cafe Les Veux Copains
エピローグでパリのカフェにてチェスを楽しむチャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートー。
フランス語ですが、直訳するとカフェ名は『旧友が集うカフェ』になります。チャールズ/プロフェッサーXとエリック/マグニートー最後のショットに相応しいロケーション。
『X-MEN: ダーク・フェニックス』はサーガのラストを飾る作品としては落胆せざるを得ない内容でしたが、こうした細かいディテールに気付くと少しは温かい気持ちになります。
いかがでしたか?
『X-MEN: ダーク・フェニックス』はシリーズ最後の作品としては観どころも弱く、残念でしたがシリーズ全体としてはとても楽しめるX-MENの世界は、是非一度体感して頂きたいと記事を書いていて改めて感じました。
是非、これを機にDVDや動画配信サイトで鑑賞してみてください。