知らないとお子様?映画『キングスマン』に学ぶ英国紳士のスーツ着こなし術と基本知識!スーツのスタイルや魅力を『キングスマン』から紐解いて解説

キングスマン


監督:マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ストロング、タロン・エジャトン、マイケル・ケイン 他
言語:英語
リリース年:2014
評価★★★★★★★☆☆☆

Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox『参照:https://www.imdb.com


 もくじ

  • 『キングスマン』のスーツ

    『キングスマン』のスーツ

    スーツを考える

    『キングスマン』はコリン・ファース扮する華麗なるスパイ、ハリー・ハートが世界を魅了し、『ロケットマン』(2019年)で主演を務め、今や世界的な俳優となったタロン・エジャトンが名声を手にする契機となったアクション映画。作中でハリー・ハートやエジャトン演じるエグジーが着こなす英国紳士を絵に描いた様な装いに、心を射抜かれたのは女性だけでは無いはず。

    広告を多く打ち出している事もあり、日本で一般的にスーツを購入する店はコナカや洋服の青山と言ったところですが、そもそも日本人は大してスーツに関心が無いと言っても過言ではありません。

    拘るのは一定の地位や富を手にした成功者やビジネスマン。日々、通勤時に目にする日本人の中で、30代や40代以降のビジネスマンも皺が寄って生地感も品質が良いとは言えそうに無いスーツを纏い、疲弊した面持ちでスマホのゲームに没頭している姿を嫌になる程見ます。ストレス社会とも言われ、忍耐こそ美徳とされる日本で数十年間改善の兆しを見せない時代錯誤的で欠陥した都市インフラによって、収容所行きを思わせる域の車内に詰め込まれていては服装に拘る余裕が無いかも知れませんが、人生は一度切り。

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    インドのラッシュアワーに引けを取らない環境を殆ど問題視しないJRや政府の異常性への言及はさて置き、それでも男性なら拘りたいと思うはずです。

    『キングスマン』のスーツ
    気品ある飾り過ぎない男らしさを感じさせる装いは果たして日本人に合わないのだろうか

    出典:”Kingsman: The Golden Circle(2017) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    私の想いにはなりますが、日本人に良いスーツを着て欲しいと思う理由には品格を改める良い機会になるから。酒の加減が分からぬ高校生の様に酔い潰れて涎を垂らして電車で帰路に就く中年男性の人数は呆れ返る程で、中には吐瀉物をスーツに垂れ流したままプラットフォームに倒れ込む方の姿も屡々。着ているスーツが100万円や200万円していれば、そうした態度は執れないはずです。何より、大切な一着ならば。

    鶏と卵の話かも知れませんが、良質な品を身に着けるポイントは自ずとその品性に見合う様に行動しようと考える心理を刺激する事では無いかと考えています。持論ですが、スーツや靴が汚れたり劣化しない様に日々のケアは当然、己の行動も慎重になって自然と上品になるはずでは無いか。酒の嗜み方も変わり、心身共により良い人間になろうと努め、次第に自信が湧きます。

    無論、100万円で無くても良く、自身が少々背伸びした域を目指して欲しい。50万円でも5,000万円でも良い。大切にして、一生着たいと思う品を一度手に入れる体験をする事が重要です。

    しかし、何処から始めれば良いのか。この記事はそうした疑問を抱えた方に読んで頂く為に書いています。

    『キングスマン』のスーツ
    日々着る事が多いスーツ、折角ならとことん格好付けて自分の良さを際立たせたい

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    “The suit is the modern gentleman’s armour”

    『キングスマン』でファースの台詞にある様に、スーツは現代を生きる男性の鎧。スーツは身も心も引き締めて、仕事場で直面する闘いに己を投じる為の装いですが、同時に品格や知性を示す事も出来るアイコンになっていると言えます。資源が枯渇した戦後の余波もあってか、若者が良質な装いや品を纏う事に眉を顰める風潮が未だ根強い日本でも委縮する事無く、寧ろだらしが無い恰好を無礼と見做して年齢と関係無くスーツに対する知識を身に着け、拘るべきでは無いかと思います。

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    スーツは本来、用途別に整理出来て大きくはパーティの様な社交の場に着ていくクラシック・スーツ、職場などで着るビジネス・スーツ、街着として装うカジュアル・スーツに分けられます。

    『キングスマン』の続編として公開された『キングスマン: ゴールデン・サークル』(2017年)ではカウボーイを思わせるスタイルのステイツマンが登場し、ワードローブの幅が広がりましたが今回の記事では、『キングスマン』のスーツに焦点を当ててみましょう。


    スーツの種類と形

    ▼ クラシカルなスタイル

    多様化し、様々なスタイルが広がった昨今ですが、先程紹介した用途の中でも、クラシック・スーツには大きく3種類のスタイルがあり、イギリスを中心とするゲルマン系、そしてラテン系とアメリカ系に分類されます。

    『キングスマン』ではお察しの通りゲルマン系のスーツを着用しており、実際に作品の舞台としても登場したロンドンのサヴィル・ロウに連なるテーラーがベースとしているスタイルです。このスタイルは身体のラインを活かし、フィットする様に仕立てられる事が特徴で、ハリー・ハートが着用しているジャケットの形を見て頂くとウェストが絞り込まれたシェイプド・ルックと呼ばれるシルエットになっています。

    腕と胴体の間に細長い三角形が出来る様な絞り方をしていて、世界的にもシェイプド・ルック程シルエットを絞ったスタイルはありません。

    『キングスマン』のスーツ
    ハリーのウェスト付近を良く見るとくびれが生まれる様に少し引き締められている事が分かる

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    そして重要なショルダー・ラインは多少角ばった形を持っている事が基本で、撫で肩が多い日本人の体形に合う形状と言えます。この点、ラテン系はゲルマン系であるイギリスのスタイルよりも、肩が張っており、日本人がイタリアのスーツを好むポイントの1つです。一方でアメリカ系はナチュラルで撫で肩なので、個人差は当然ありますが日本人体形には不適です。

    ラテン系はフランスのスタイルが原型となっており、肩幅は広くて丸みを帯びていて、ウェストは少々絞っていますがイギリスのスーツに比べると緩めです。ジャケットの裾が腰に密着する作りになっていて、イギリスのスーツに比べると開き加減が少ない事が特徴です。先程述べた通り日本人の体形に合い易い事から、日本の既製品の多くがイタリアのスタイルを模倣しています。

    アメリカ系はウェストを絞らず、脇の下からストレートなラインを裾まで描く形が特徴的で、身体の線を隠してしまいます。イギリス人とは対極的にタイトなシェイプド・ルックを嫌がったアメリカ人は、サック・コートと呼ばれる文字通り大きな袋の様なスーツを考案した事がルーツになります。肩を挟む事無く、スラックスも太くカットされた快適なスタイルを追求した結果が現代のアメリカ系のスーツになります。

    『キングスマン』のスーツ
    エグジーもハリーに良く似た装いですが、ネイビーで若者らしい引き締まったシルエットを演出しています

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    多様な体形に対応出来る事で、既製品として量産出来た事が大きくな理由と言われています。

    無論、いずれにしても最も重要なのは身体の形状にスーツがフィットしている事になりますが、折角なので『キングスマン』に登場する英国紳士をメインにスーツの形をご紹介します。

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    スリーピースのスーツってどうなの?

    一般に日本人には不思議とスリーピースは生意気だという固定観念がある様で、当初驚きました。私は就職面接の際にネイビーのスリーピース・スーツで臨み、髪と言えば濃い茶髪でしたが幸いにも採用となって今に至ります。クライアントが日系企業なだけに髪ばかりは地毛に戻しましたが、スリーピースのスーツを若者が着るのは何処と無くご法度なイメージがあるあたりは非常に残念です。

    郷に入っては郷に従え。文化の問題であれば致し方無い面もありますが、そもそもスーツは日本の衣服では無く、スリーピースは本来最もフォーマルで寧ろツーピースの発想はありませんでした。スーツの定義は元来、同じ生地で造られたスリーピースを指します。フォーマルとされる理由は、暑くてジャケットを脱いでも内着となるシャツ姿を相手に晒さずに済むからです。細かく歴史を辿ると様々な着こなしや細かなルールがあるものの、スリーピースを贅沢だとか生意気と捉える事は正直言って非常に馬鹿げています。フォーマルが贅沢なのであれば、そもそもスーツは地位のある者だけが着れば良いし、若者は革靴では無くてクロックスで良いはず。

    然りとて理屈派では無く、頭の固い印象派が集う今の日本社会や日本企業に属している以上は抗えない部分があるとは思いますが、私も未だに秋や冬はスリーピースを着ますし全く他人の目は気になりません。女性が自由度高くアクセサリーまで許される昨今のビジネスシーン、自分に似合うフォーマルなスリーピースが見付かったなら、着させて頂いても良いのではとも思います。

    ▼ ダブルとシングル

    ハリーやエグジーが着用しているスーツと良く見掛けるスーツと大きく違う点が、ジャケットの前面に縫い付けられたボタン。『キングスマン』に登場するこのスタイルはダブル・ブレステッド(Double-Breasted)と呼ばれるスーツで、多くの場合は単にダブルと言えば通じます。6つのボタンが2列並んでおり、イギリス人が好むスタイルでもあるので『キングスマン』の英国紳士にはお誂え向きです。イタリアのスパイであれば、恐らくダブルは避けたはず。

    一般的に見掛ける2つ、または3つのボタンが1列に並んだスタイルはシングル・ブレステッド(Single-Breasted)と呼ばれ、こちらも基本的に単にシングルと言えば通用します。

    ダブルは原則ボタンを締めて着用する点はシングルと着方が異なりますが、原則第2ボタン2つを締め、最上段と最下段のボタンは締めない点はシングルと同じです。

    『キングスマン』のスーツとブランド
    タロン・エジャトンが着用しているのはシングルでボタンを開け放っても違和感は無いが、背景に飾られているダブルは原則ボタンを締めないと決まりが悪い

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    シングルとダブルのどちらがプロパーでクラシカルと言えるかは関係無く、着こなしやスタイルの問題です。クラシカルなスーツは飽く迄も身体の流れを意識して汲み取った形状であるか否かが重要で、アメリカ系の様に様々な体系をカバーする様なスタイルは着用者の身体のラインを無視しているのでクラシカルと呼ぶには少々難があります。

    ▼ ラペルとゴージ

    『キングスマン』のスーツでもう1点注目頂きたいのがラペルです。ラペルは日本語で言えば衿(えり)部分を指し、ショルダー・ラインと並んでジャケット、延いてはスーツ全体の印象を左右するパーツになります。

    大きくはシングルとダブルのスーツで各々好まれるラペルがあり、シングルの場合はノッチド・ラペル(Notched Lapel)、ダブルの場合はピークド・ラペル(Peaked Lapel)と呼ばれる形状になります。尚、ノッチド・ラペルはアメリカ英語でポピュラーな呼び名で、『キングスマン』に倣ってイギリス英語で言えば、ステップ・カラー(Step Collar)やステップ・ラペル(Step Lapel)になるので豆知識として覚えておいて損はありません。

    『キングスマン』のスーツとジャケット
    エレガントなオレンジが印象的なエグジーのジャケットのラペルに注目してもらうと、黒いラペル部分がピンと尖った形になっている(ピークド・ラペル)

    出典:”Kingsman: The Golden Circle(2017) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    イレギュラーなラペルとしてショール・ラペル(Shawl Lapel)と呼ばれるスタイルもあり、『キングスマン』のヴィランであるリッチモンド・ヴァレンタインの邸宅を訪れたハリーが着用していたタキシードに見られるラペルになります。カジュアルなジャケットにも見られるラペルですが、必ずしもインフォーマルなスタイルではありません。

    ノッチド・ラペルは多くのスーツに見られ、寝かせた様な形のラペルでシングルに使われる事が多い。しかし、『キングスマン: ゴールデン・サークル』(2017年)でエグジーが着用したタキシードはシングルですが、ピークド・ラペルを採用している様に明確なルールは無く、特に1920年代はピークド・ラペルのシングルはスタイリッシュとされていました。一方でダブルの場合はピークド・ラペルが主流で、ノッチド・ラペルは珍しいスタイルになります。

    『キングスマン』でハリーが着用しているピンストライプのスーツは、ピークド・ラペルの幅を若干広く仕立てられていて、男性的でマスキュリンな印象を与える様になっています。『キングスマン』のイメージに近付けるならダブルのピークド・ラペルで英国紳士の装いを試してみると良いです。

    『キングスマン』のスーツ
    マーク・ストロングが着用しているのはノッチド・ラペルのシングルで、上衿と下衿のラペルの境目をゴージと呼ぶ

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    ラペルの境目となる縫い目をゴージと言い、細かくて見逃し易い部分ですがゴージの位置はスーツ全体のバランスに大きく影響する部分になるので、傾斜の角度や幅は必ず意識すべきパーツになります。ラペルの見極め方も含めてゴージに関しては次章で詳しく述べて行きます。

    ▼ ヴェント

    日本語表記ではベントと呼称される事もありますが、正確にはヴェント(Vent)になります。ヴェントはジャケットの背面に切り込まれたスリットの事を指し、極論としては好みの問題となるので装いとしてどの様なヴェントが正しいかは関係ありません。強いて言うなら、スタイル毎の傾向程度になります。

    ヴェントは概ね背面の中心にスリットを1本だけ切り込むシングルと、左右に合計2本切り込むダブル、そして全く切り込みを入れないノーヴェントの3パターンが考えられます。厳密に言うとクラシカルなスーツは本来ノーヴェントで着用するのが正しいとされ、イギリスのスーツはダブル、アメリカはシングルが一般的ですが明確なルールは無く、好みのヴェントを選択して問題ありません。

    『キングスマン』のスーツ
    少々見辛いですが、ハリーのスーツはサイドが切り込まれたダブルになっており、戦闘時の動き易さに一助を買っています

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『”参照:https://www.imdb.com

    稀にシングルはカジュアルとされる認識もありますが、これは全くの誤りです。

    『キングスマン』では英国紳士の装いを起点にしている事もありますが、スーツを着用したアクションが多用されている為、着用者の動きにフレキシブルに合わせられる様にヴェントはダブルで仕立てられています。

    スーツの選び方

    ▼ 確認したいポイント

    『キングスマン』と全く同じ装いが自身に似合うか否か。

    コリン・ファースが着用するからこそ格好が良いのは無論ですが、スーツを選ぶにあたっては、フィットが重要になります。

    スーツを購入する場合、ルートは大きく既製品と注文服に分けられます。いずれも文字通りですが、前者はジーンズの様にサイズ別に店頭に用意されている品を試して最も身体に合うスーツを買う方法で、後者は購入者の身体に合わせたスーツを仕立てる方法になります。既製品は手縫いの場合もありますが、殆どがマシンを使った大量生産となり、時折ボタンホールのみ手縫いをアピールするブランドがある様に特定のパーツのみ手縫いである事が一般的です。

    尚、ボタンホールが手縫いである事をアピールする理由は、ボタンの穴掛かりを美しく見せる為に古来より様々な工夫が凝らされ、仕立て人の技術の高さ、そしてスーツが上質である事を証明するポイントに当たるからです。

    『キングスマン』のスーツ
    着心地は当然、動いたり座ったりした時の感じや皮膚に纏わり付く感じがしっかりあるかを確認

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    ボタンホールが手縫いか否かは縫い目を表と裏で見比べれば大概見分け易く、人目に触れる表は均一で美しく仕立てられていて、裏は不均一で少々粗い縫い目となっていれば手縫いです。マシンで仕立てると、表裏共に均一となってしまいますが、手縫いの場合は表を均一にする為に多少は裏の縫い目を犠牲にする必要がある為になります。

    自身に最適なスーツはジャケットを着用した時に肩回りへ適度な圧迫感が胸が少し前に押し出される感覚がある事が1つのポイント。何も感じない場合はサイズが合っていないか、仕立てが悪いジャケットとなります。これからディテールに纏わるポイントを述べますが、先ずは必ず全体の印象を大事にすべきです。ボタンの形やラペルの太さや位置も重要ですが、全体的な雰囲気に違和感があれば細部に手を入れても、本末転倒となってしまう為です。

    シングルとダブル、シングルの中でもボタンは2つか3つかで選んだ後に実際に試着してみると良いです。この際、手持ちで気に入っているスーツがあると尚良く、自身に似合うスーツのイメージを鏡に映し出して頭に焼き付けてから、検討しているスーツを試着し、比較します。この時、候補となるスーツは少なくして、次々と取り替えなくて良い様にしないと初めのイメージが崩れて判断が難しくなり、最悪の場合は急いて判断を誤る事もあるので注意が必要。

    そして普段、カジュアルに着用する衣類に関しても言える事ですが必ず腕周りや肩回りを動かしてみて機能性を確認する事を忘れない様にします。上質なスーツは第二の皮膚の如く身体の動きに纏わり付く感覚があるはずで、この時に皺の走り方も観察すると良いです。

    『キングスマン』のスーツ width=
    『キングスマン』では教会のシーンで激しいアクションにも耐えられる上質なスーツを仕立てています(流石に極端ですが)

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    上質に仕立てられたスーツは着用者が動くと表面に皺が走りますが、動作を止めると皺が全て消え去ります。既製品でも仕立てが良く、素材も上等だと人間の筋肉の様にフレキシブルに動くものの、何もせず自然に立っていれば元通りになる様になっています。

    その点、『キングスマン』の激しいアクションをスーツを着用した状態で熟せるのは、最高に質が良い事の証でもあるかも知れません。無論、スーツで回し蹴りや飛び蹴りを放つ事は通常無いと思いますが。

    全体像に納得したらディテールへも気を配ると良く、仕立ての悪いスーツだとラペルはジャケットに張り付く様に折り返されているので、ボタン部分から撓やかに折り返されている形状となっている事がポイント。一般的にはラペルを裏返すと見極め易いと言われ、ゴージの縫い目を確認すると良いです。手縫いであれば既製品でも良いとされ、特に上衿の余った生地が30mm前後折り返されているか否かも確認します。

    余った生地はスーツが古くなってラペルが擦り切れて来たら、裏返して再縫製出来る様に予め残された分となり、後程紹介する注文服に見られる事が殆どです。

    『キングスマン』のスーツ
    ラペルに関しては一般的に言われるスタイルはあるものの、ハリーが着用しているダブルの様に胸ポケットを殆ど覆わない場合もある

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    ラペルを手に取って軽く指で動かしてみた時、風に靡く様に抵抗無く動けば腕が良いテーラーが仕立てた証とも言われますので、是非確認してみてください。

    ラペルの太さも胸ポケットが概ね4分の1から3分の1程度が隠れる様に造られたジャケットがバランス良く見えるので、この点も鏡で確認しておきたい。流行に左右されて幅が変わる事もありますが、こうした流れに依存するブランドやメーカーは個人的にお勧めしません。

    “If you’re prepared to adapt and learn, you can transform”

    ゴージのラインはシャツを着用した時との位置関係と角度に注目してください。クラシカルなスーツの場合、ボタンの数にも依存しますが、上衿から約7cmから9cm下にゴージが縫い付けられており、胸ポケットの水平なラインに対して50度下向きのゴージが一般的にバランス良く見えます。カジュアルなジャケットであれば、ゴージの位置や角度は様々になります。

    鏡を正面に向いた時、シャツのカラーが見えると思いますが、ゴージがカラーの中央付近に位置する事を確認する事も重要です。カラーの先付近にゴージがあると全体的にVゾーンが崩れて見え、格好が悪くなってしまうので注意します。

    『キングスマン』のスーツのブランド
    エグジーのゴージとシャツのカラーの位置関係を良く見ると、見えている左側のカラーの中心からゴージが伸びています

    出典:”Kingsman: The Golden Circle(2017) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    ハリーやエグジーが着こなすダブルを着用する場合、特に留意するポイントはボタンを締めた際のVゾーン。

    ダブルだと既製品の多くが小さく、浅いVゾーンを作りますが、この場合は全体的な印象が堅く年老いて見え、若々しさを感じさせる余裕が無くなります。ハリーやエグジーを見るとVゾーンが浅いのですが、引き締まった印象を与えています。イギリスのタイトで伝統的なスタイルを踏襲していますが、若さを演出するのであれば多少Vゾーンを深めに取る事が大事です。

    パンツに関しても好みによりますが、原則、立った時に靴の周りに裾が溢れない様にする必要があります。英語では裾が靴に接触する箇所をブレイク(Break)と呼び、本来は靴の踵に掛かる程度が丁度良いとされますが、最近は高めのブレイクとなる様に短めに裾上げする事もあります。

    『キングスマン』では動き易い様に、スリム・フィットのパンツに浅めのブレイクが入ったパンツを着用しています。大きくはノー・ブレイク、ハーフ・ブレイク、フル・ブレイクに分けられ、ブレイクが浅い程身長が高く見え、一方で背が高い場合はフル・ブレイクの方が身体のバランスが整って見える様になるので体形と好みを販売員に相談すると良いです。

    こうした細かな造りにも拘る場合は、注文服と言われる購入方法が最適となります。高級なブランドも多くあるとは言え、既製品は廉価で購入出来るスーツが殆どになりますが、注文服は高価な一方で着用者に合わせた上質なスーツを期待する事が出来ます。

    『キングスマン』のスーツ解説
    『キングスマン』のスーツは全て着用している俳優に合わせて仕立てられた注文服になるからこそ締まって格好良く見えます

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    注文服と一口に言っても、ある程度のフォルムが決まっていてサイジングの微調整はしつつもマシンで仕立てるパーツもあるメイド・トゥ・メジャー(Made-To-Measure)と、仕立屋やクライアントの要望に合わせてゼロベースで造る謂わばオリジナルを手に出来るビスポークがあります。日本でも最近見掛ける様になったカスタム・メイドやオーダー・メイドの多くが前者のメイド・トゥ・メジャーです。

    『キングスマン』で着用されているスーツもファースやエジャトンに合わせてビスポークで仕立てられたスーツとなり、グッズやコスチュームとして既製品は購入出来ますが、先述の通り本当に実用性がある自身に合うスーツを手にしたければビスポークで仕立てる事をお勧めします。

    ▼ 国内で買える場所とブランド

    『キングスマン』に憧れても、残念ながらサヴィル・ロウの職人が日本に着てくれる事はそうそうありませんし、ましてやオーダーを受けてくれる事も期待出来ない。キングスマン本部となったサヴィル・ロウに実在するテーラー、ハンツマンもウェブサイトこそあるものの、同ブランドの製品を国内で手に入れる事は難しい。

    しかし日本に居るから良いスーツが手に入らない訳ではありません。例えば、次の様なお店やブランドを一度チェックしてみると良いでしょう。

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    ラルディーニ/LARDINI

    イタリアのファッション・ブランド。ドルチェ&カガッバーナ、サルヴァトーレ・フェラガモ、ヴァレンティノやヴェルサーチなど名だたるブランドのメンズ・ウェアを仕立てたラルディーニ家によって1978に創立されたハウスです。イタリアだけあって、黒やネイビーの様な無難なカラーだけで無く、ベージュやブラウンも絶妙な品格を漂わせる素材と色調で提案してくれるブランドです。

    日本でも丸の内に直営店を構え、レディ・トゥ・ウェアの商品を提供していますが、伊勢丹などでもウェアを購入する事が出来ます。

    エルメネジルド・ゼニア/Ermenegildo Zegna

    こちらもイタリアを代表するブランドで、ミラノに本社があります。単にゼニアとも呼ばれる事があり、上質なメンズ・ウェアをプロデュースするラグジュアリー・ハウスとして名を馳せ、日本でも丸の内や銀座に店舗を持ちます。レディ・トゥ・ウェアの製品も数多く提案していて、生地メーカーとしても12ミル・ミルとして知られるスーパー200級の上質なウールを生み出した程でメイド・トゥ・メジャーにも対応しています。

    ジャケットやスーツに限らず、バッグや靴、小物なども置いてあるので実際に足を運んで頂きたいブランドの1つです。

    ブリオーニ/Brioni

    エルメネジルド・ゼニアと並んで高級メンズ・ウェア界では言わずと知れたイタリアのブランド。貫禄を感じさせる製品が多い為、価格の問題以前にブリオーニばかりは若者が少し手を出すには敷居が高いとされますが、やはり絶賛される職人の技術は魅力的。ビスポークで仕立ててくれる職人が来日するイベントなども時折行っているので、チェックは怠らない様にしたい。

    ポール・スミス/Paul Smith

    イギリスのファッション・ブランドで、小物なら持っている人も多い。スーツも製作しており、デザインの多くは若者向けの遊び心が効いたデザインですが、エルメネジルド・ゼニアやロロピアーナの生地を使ったセットアップもあるので、見栄えだけで無く、着心地にも拘っています。既製品で相応の生地を使ったスーツなら30万円から40万円と比較的購入し易い値段設定になります。

    スタイルは無論、イギリスのシェイプド・ルックを踏襲していて身体のラインを綺麗に見せたいならお勧めです。

    gotairiku-五大陸

    日本の紳士服ブランド。様々な年代に向いているブランドで、紹介した上記のブランドとの最大の違い、そして優位なポイントは日本人の体形に合うスーツを造っている事になります。海外ブランドはどうしてもイタリア人やイギリス人など欧米人種の体形をベースとした製品となり、ラルディーニの様に一部は日本人に合わせてカスタムした製品を輸入している場合もありますが、日本のブランドだけあって五大陸は日本人の身体にフィットした製品を多くプロデュースしています。

    百貨店を中心に展開しており、価格も既製品であれば10万円程と非常に安価ながらしっかりとした品質を貫いています。注文服を購入する場合でも大して値段は跳ね上がらないので、予算を抑えたい場合もお勧め出来るブランドになります。


    ビスポーク・テーラーリングを選ぶ理由

    ▼ 抗えない魅力

    ビスポークは高尚ですが、何よりも世界に一着しか存在しない、己の為に生み出された逸品を手にする事が出来る唯一の方法です。その魅力は筆舌に尽くし難く、手にした時の喜びは恰も子供を授かった様な気持ちになります。ビスポークでスーツを誂える場合、担当するテーラーがクライアントを如何にすれば最も格好良く演出する事が出来るかを常に意識してくれるので、完成したスーツに最も似合うのは世界の何処を探しても自分しかいないのは、この上無い優越感でもあり、スーツは人生を特別にしてくれる相棒となります。

    細かな抜けや気になる点が絶対に存在する既製品とは異なり、着心地も見栄えもビスポークは完璧としか形容出来ない格別な仕上がりで、着た瞬間から分身の様な親しみと愛着が湧きます。

    しかし、誰に仕立てて頂くかが最大の難関です。

    『キングスマン』のスーツ
    数多あるテーラー、何処の誰に仕立ててもらうべきかの見極めには限界がある

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    『キングスマン』の舞台ともなったサヴィル・ロウに赴いても様々なハウスに様々な技術を持ったテーラーが存在し、テーラーが如何に優秀でもクライアントが初めての人間となれば、思い描いている姿を正確に汲み取るのは難しくて当然です。焦る事無く、テーラーと会話してみる事も重要で、急いて駆け込めば仕立てに要する数か月もの間、大金を無駄にしているかも知れないと心配して過ごす事になります。

    テーラーリングの入門書を書店で見掛ける事もありますが、飽く迄も参考とすべきで、実際にテーラーのスタイルを直に見て相談する方が賢明です。その際、テーラーにも職人としてのユニークな美式や美学が存在する事を忘れてはならず、無理な注文をしても断られる事があります。

    最終的には決めの問題になりますが、ある程度の自身を持ってテーラーを選んだら、その後の過程はとても楽しく、贅沢な体験に浸る事が出来ます。肩や胸囲、アウトシームヤインシームを巻き尺でメジャーしてもらい、幾度かフィッティングして生地や細かな装飾品を選んで行き、少しずつスーツが完成して行く様子。ただ、例えばラペルの幅やゴージの角度を事細かく指定するのも基本的にはご法度。先程述べた様にテーラー自身の感性とセンス、技術にある程度は委ねるべきですし、スーツは着ている間に馴染み、変化して行く事を念頭に楽しむ必要があります。そして完成したジャケットの内ポケットを覗くと自分の氏名、テーラーの氏名と日付、そして仕立てたハウスの屋号が入っている。

    “Manners maketh man”

    人目にひけらかす様なブランド品を超えた、静かで深い至福の瞬間を味わえます。そしてスーツで出掛ければ、ブランドや価格などどうでも良く、しかし誰が見てもパーフェクトにバランスされた至高の一品を纏っている事だけが伝わった時に溢れ出る自信が心地良い。こうした試した者にしか真に分からない体験、そしてそれが齎す内なる感情がビスポーク・テーラーリングを格別なラグジュアリーにしてくれます。

    然りとてビスポークは容易に手に入る代物ではありません。ビスポークには勝りませんが、そもそも文字で語られてもスーツの魅力は分からない方には、是非少々廉価なメイド・トゥ・メジャーで感触を試してみて頂きたい

    生地の重要性

    ビスポークに限らず、値が張るスーツは仕立て屋の職人技と手間に加えて上質な生地を利用しています。

    生地が重要なのはスーツが如何に見栄え良くても着心地が悪ければ衣類としての価値が無いとさえ言えます。生地に違いなど無いと思う方は実際に上質な生地を使ったジャケットに腕を通して頂く必要があります。指先で触っただけでは柔らかく、スムーズである事しか分からないので着ないと、その価値を実感する事は難しい。

    スーツに使われている生地は既製品でも大体の場合はジャケット内側のラベルに記載があり、上質の生地であればグレードが書いてあります。スーパー100など聞いた事があるかも知れませんが、これがグレードを表します。元々、生地に使われるウールの品質は1ポンドから紡ぐ事が出来るヤーン(糸、繊維)の本数で評価されます。肌理細かいウールであれば、紡げる本数が増え、生地はハンクと呼ばれる毛玉の単位でグレードが分けられます。スーツに使用されるウールは、560ヤード(約512m)分のヤーンを紡ぐ毎に1ハンクとなり、1ポンドで60ハンク紡げればグレードは60となります。

    『キングスマン』のスーツ
    『キングスマン』で使われているグレードは定かではありませんが、ハリーのスーツはモヘヤとウール生地の混紡でシャークスキンらしさを醸し出している様に見える

    出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”『参照:https://www.imdb.com

    これまでの技術では60や70程度が限界でしたが、現代では200近いグレードまで存在する様になりました。しかし、スーパー200となると繊維が細か過ぎて耐久性が著しく低い為、そのままでは着用する生地としての実用性は殆どありません。

    70を超えた契機はオーストラリアのメリノ・シープと呼ばれるブランドの羊が80にグレーディングされる質のウールを生み出した事で、その後も発展を続け、今に至ります。

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    エルメネジルド・ゼニアの様に上質なウールしか使っていない為、敢えてラベルにグレードを書かないブランドもあります。しかし、必ずしも80や90のグレードを持つ生地を避けるべきかと言えば全くそんな事はありません。ヤーンが少なく、繊維が太い代わりに耐久性が高くて冬場は体温を保持してくれます。無論、グレードが低いのは事実なのでスーパー100以上のグレードに比べると安価で、コストを抑えたい方にもお勧めの生地です。

    スーパー100や120のグレードは生地感が非常に良く、肌触りが良くなります。長時間着用しても着心地は良く、良いスーツを仕立てるには最適ですが70や90に比べると多少は耐久性が落ちます。しかし、実用面では充分でスタイリッシュなスーツにはお誂え向きです。

    実用面で最上級のグレードとなるのがスーパー140前後です。暑い環境で過ごす事が多い方に向いていますが、毎日の様に頻繁に着用しない事が条件になります。スーパー200のタキシードやスーツも造れますし、驚く程滑らかな触り心地に惚れ惚れとしますが、非常に高価で殆ど趣味に近い域の品物となり、日々着用するのでは無くて特別な日に着る一着として仕立てる事をお勧めします。

    この通り生地にも様々なグレードがあり、折角大金を使ったスーツなのに着用していて不便だったり心地良くないと全く意味がありません。好みの触り心地は無論、気候や着る頻度、買い替える頻度に応じて生地を選ぶと良いですが、初めは販売店やテーラーに相談してみるのも手です。『キングスマン』でハリーが着用しているスーツはピンストライプの柄が入ったモヘヤ(Mohair)とシルクを織り込んだウール生地を使用しており、主張し過ぎない気品ある光沢を放っています。他にもグレン・アーカートと呼ばれるチェック柄を施したウールのスーツも登場しています。

    手入れと保管方法

    高品質な生地を贅沢に使ったスーツ。

    着用すれば自然と擦り切れて行きますが、保管と手入れにも気を配れば寿命を延ばせます。最高のスーツは身体の一部ですので、健康を気遣う様にケアをして、手にした日の事を忘れない様にする意味でも手入れは重要です。

    鉄則として、クリーニングに頻繁に出す事は避ける必要があります。俗に言われる通り、洗濯をすれば衣類へのダメージは多少なりとも避けられません。クリーニングは衣類のプロフェッショナルが手掛けるとは言っても必ずスーツの生地を傷めます。特にクリーニングの歴史が浅い日本では、クリーニングに出さねばならない場合でも慎重に出す先を選ぶ必要があります。季節毎にクリーニングへ出す方を多く見掛けますが、汚れが付着した場合を除き、スーツを大切に使うなら絶対に止めるべきです。

    『キングスマン』のスーツ
    カシミヤにも使えるブラシで着用後に全体をブラッシングする習慣をつけ、スーツ用のハンガーに掛けて保管

    出典:画像は筆者の私物

    スーツのケアは単純で、洋服ブラシで着用後に都度ブラッシングを行う事に尽きます。埃を落としたり、繊維の流れを整えられる様にカシミヤ用で大きめのブラシが最適です。ラペルの裏も忘れずにブラッシングする事をお勧めします。

    保管する場合はショルダー・ラインが崩れたり、平たくならない様にジャケット用のハンガーを使う様にし、湿気や臭いを吸収するウッドを選びます。肩幅が合ったハンガーを選ぶ事も重要なので、サイズにも注意します。パンツは裾を挟んで吊るすと、パンツの重みで自然に皺が伸びますが、クローゼットに充分なスペースが無い場合は半分に折ってハンガーに掛けます。

    いかがでしたか?

    スーツに無関心だった方も『キングスマン』を観て憧れや興味を持ち、この記事を読んで頂けていたなら幸いです。未だに格好付けようとすると、明らかに目を引くブランド品に駆け込む方が日本、延いてはアジア圏には多い様に感じており、東南アジア諸国では貧困が激しい為に富を手にすると上品に使う事がままならず、成功者の証としてグッチやルイ・ヴィトンの典型的なファッション・アイテムを集める方がどうしても多い。

    ブランド品を否定する腹積もりは毛頭無く、信頼出来る製品を世に出しているし、自身に合えばそれで良いと思います。ただ、明らかにブランドの看板と化していて個性や、本当にその方を格好良く演出しているケースは稀と言わざるを得ません。

    折角余裕があるのなら、この世で最も格好良く、最高の自分を演出してくれる品を身に着けて欲しい。

    “There is nothing noble in being superior to your fellow man; True nobility is being superior to your former self”

    無論、その品はスーツに限るものではありませんし、着る者の品格にも大きく左右されますが、私は一度でも心の底から愛せる品を手にする事で人は次第に馴染んで成長する面があると信じています。

    『キングスマン』でハリーに叩き込まれて変わったエグジーの様に、生い立ちと関係無く、誰でも紳士になれるはずです。

    スーツの全てを語った気はありませんが、もしご好評頂けたら『キングスマン』で登場する靴やアクセサリーなど、より詳しい装いについても記事を書こうと思います。ここまでご覧頂き、本当にありがとうございました。

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