初の3D化を果たしたルパン三世をネタバレありでレビュー!映画『ルパン三世 THE FIRST』で魅せるアクションは笑いあり、驚きあり!だけどストーリーは40年前のあの作品と殆ど同じ・・・?

ルパン三世 THE FIRST


監督:山崎貴
出演:栗田貫一、小林清志、浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一、広瀬すず、吉田鋼太郎、藤原竜也 他
言語:日本語
リリース年:2019
評価★★★★★☆☆☆☆☆

ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝『参照::https://eiga.com


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~”有り得ない身体能力が繰り出すアクション!そのぶっ飛び具合に笑え!普通にエンタメとして全然アリ、ただストーリーは簡単過ぎてちょっと退屈なのも否めない”~
~”ルパン・ザ・サァード♪あのアイコニックな音楽も久々に聴くとこれまた良いもの!CGi化する意義は見当たらないけど、総じて老若男女、万人向けの映画”~

もくじ


あらすじ

嘗てアルセーヌ・ルパンが唯一盗めなかった秘宝
偉大な考古学者ブレッソン教授が遺したブレッソン・ダイアリー
そこに記された謎を読み解けば、莫大な財宝を手中に出来るとされていた
ブレッソン・ダイアリーを狙うルパン三世だが
ブレッソン・ダイアリーを狙う秘密組織に命を狙われてしまう
彼らはナチス復活を目論む残党、アーネンエルベ
ルパン三世とアーネンエルベの争奪戦が幕を開ける
果たして謎を先に解くのは・・・
そしてブレッソン・ダイアリーに隠された驚愕の秘密とは・・・


レビュー

初めに断わって置くと、私は『ルパン三世』(1967年~)の熱狂的なファンでも無ければ、内容に関して特段詳しい事も無く、幼少の頃に断片的に観た事がある程度なのでキャラクターのイメージに関して深く語れはしません。

その点、長身痩躯なルパン三世の飄々とした佇まいは『ルパン三世 THE FIRST』でも健在である事は言えるものの、一方で元々アニメーションで描かれていたキャラクターと世界を敢えてCGi化する意義は鑑賞しても理解出来ませんでした。如何せん、『ルパン三世 THE FIRST』でも人間離れした身体能力を駆使したアクションがスクリーンを過ぎる為、従来のアニメーションでは表現出来ない事も特段無さそうで、予告編でも謳い文句となっていたCGiの目的は本作のストーリー以上のミステリー。肌の質感や服の生地感は確かに目を見張るものがありましたが、アクションとストーリーがいずれもコミックスの様な仕上がりなので、ギャップに寧ろ違和感を感じた程です。

ライオン・キング』で昨今のディズニーの動向についても言及した通り、焼き直しにあたって過去の作品に何が足りないのかを考え、内容を新たに世へ放つとしても、ストーリーテリングの技法として平面的なアニメーションがCGiに劣るとは言えない。

然りとて素直に娯楽映画として腰を据えて観ると、並外れたルパン三世の身の熟しは笑声を誘うもの。ピーター・パーカーも開いた口が塞がらない俊敏で軽やかなアクションは過剰な程で、その荒唐無稽な様子はエンターテイニング。最も笑ったシーンは、バックで高速道路を疾走して警官隊から逃げつつ、次元が拳銃を上方向に放つと銃弾が標識のナットを絶妙な塩梅で掠め、ボルトが外れて標識が警官隊へ落下する場面。これならば次元もアベンジャーズへ加盟して差し支えありません。相当捻くれた感想を書こうとしなければ、アクションはスピーディで浮世離れしていて感嘆と笑いを行き来する感覚を充分に楽しめます。


映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
アイコニックな面々が完全にCGi化されて復刻!キャラクターとしての魅力も健在だ


出典:”ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝”『参照::https://eiga.com

再びCGiに関して言及する形になりますが、もう一点気に掛かったのは音声と口元の微妙な食い違い。特に台詞が長い箇所では、キャラクターの口元の動きが音声と合わない様に見える場面があり、オリジナルが別言語だった映像の上に日本語で吹き替えした様な印象を受けました。読唇術は素人程にもスキルがありませんが、序盤でレティシアに扮する広瀬すずの演技に少々違和感を感じた為、口元に着目して初めて気が付いた点ですので、こちらも深く追求する程では無いかも知れません。

ストーリーに関しても解せない点は細かいポイントも含めると幾つかありますが、大枠としては概ねの流れは予想が容易に付く内容で退屈でした。骨子はアドベンチャーを描くのに幾度と無く使い古された公式を流用していて、観どころとは言えない。『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)と同様のストーリーラインと囁かれていますが(公開から40年である事は公式サイトでも謳っているので、オマージュの心積もりでしょう)、『ルパン三世 カリオストロの城』を鑑賞した事が無い私でも大筋のストーリーは難なく掴めてしまった為、予備知識が豊富な方は一層退屈しかねない内容とも言えます。

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ストーリーや演技に関連して、ベースとなる脚本は著しく倦怠感と既視感を誘う内容でした。レビューにて言及したいと考えていた台詞も、帰宅後に忘却の彼方へ飛び去ってしまう程、印象にも記憶にも残らない台詞はアマチュアの学生が短納期で仕上げた様なイメージ。

しかし、主力となるルパン三世、次元大介、石川五ェ門、峰不二子、銭形幸一のキャラクター像は明確で、イメージ通りだった点は観どころ。『ルパン三世 THE FIRST』で美女に弱い一面は感じられなかったものの、無鉄砲な様で抜け目無く、仲間想いであるルパン三世には憧れを感じるし、殊に本作では高校生程度と思われるレティシアが出演している為、兄貴分の様な干渉し過ぎない面倒見の良さも発揮していて魅力的。


映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
メインの3人の人間離れしたアクションも驚きあり笑いありでエンターテイニング


出典:”ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝”『参照::https://eiga.com

ラストでオーディエンスのハートをも盗んでしまう怪盗は老い知らず。

総じて大きな観どころはアクションで、リアルな質感を楽しみたい方なら本作のCGiも評価に値するかも知れません。これまでルパン三世に馴染み、愛して来た世代の想いや感想を代弁するには至りませんが、ストーリーは単調で退屈するものの、スクリーンを常に飾る主力キャラクターの魅力が全体のエンターテイメント性を底上げしてくれる映画として、気楽に娯楽映画を楽しみたい方にならお勧め出来る作品です。

私としては、予告編で驚嘆する様なミステリーや難関が待ち構えているものと期待していたので、子供向けを意識したのか簡単に解けてしまう暗号やミステリーには少し落胆した事は否定出来ません。

映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
スカイ君
俺も世代じゃないから分らんが、ルパン三世の映画やアニメって基本子供向け?だったんじゃないか?映画館でも割と子供が多かったぞ、小中学生ぐらいの
映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
モカ君
あの暗号、1分で解けちゃうなんて凄いし、難しかったけどなぁ・・・
映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
スカイ君
そうだ、その暗号なんだけど、あれって本当に8文字・・・おっと、危ないネタバレに触れかねない所だった!こっからネタバレありでレビューを書いて行くから、ネタバレOKな人だけ読んでくれ!ここまでいつも読んでくれて有難うな
メインのキャラクターは良いが、ヴィランのキャラクター描写が雑過ぎる点は非常に残念

殊にブレッソン・ダイアリーを追うランベール教授のキャラクターが描き切れていないのに、ラストで下手に感動を誘おうとする在り来たりな演出には溜息が出ました。

ランベール教授と言えば、オープニングでブレッソン・ダイアリーを追っていた悪党の一味として登場し、その後もゲラルトに仕え、レティシアを恐怖と暴力で虐げる最低な人物として描かれており、その原動力は学者、延いては人間としての激しい劣等感である事も分かります。ブレッソン・ダイアリーの謎を解明する事に手間取っていた事や、類い稀なる考古学の才能を若くして光らせ始めたレティシアの論文を盗用して評価された事をゲラルトに嘲笑され、ランベール教授が歯軋りをするシーンは十二分に鏤められています。

そしてその激憤は屡々レティシアに向けられ、ストーリーがエクリプスに辿り着いた辺りで暴君の様に振舞うランベール教授の非道な言動はピークを迎えます。『ルパン三世 THE FIRST』で最も忌み嫌うべき人物でしたが、死する直前に腹立たしく中途半端な小細工で汚名を返上させる試みが施されて、その杜撰な方向転換に気持ち悪さが後を引く事になった点は評価出来ない。

ゲラルトがレティシアに向けた拳銃が咆哮を挙げると、死を覚悟したレティシアの前には自ら盾となったランベール教授が。恰も内なる僅かな本来の良心に突き動かされた様なサッド・エンディングですが、それに続くレティシアの慟哭は何処か空虚。


映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
悪役もイメージは印象的だが、中身が何とも・・・

出典:”ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝”『参照::https://eiga.com

ランベール教授が優しさを持つ人物である描写は『ルパン三世 THE FIRST』を通じて一度たりとも無い。よもや、ゲラルトにレティシアの殺害を命じられて躊躇した瞬間や、3秒程度の回想シーンで孤児のレティシアに傘を差し出す場面がランベール教授の本来の人柄を描いていると言え無い事は承知の上だと信じたいところ。

以前は考古学に真摯に向き合っていたとされるランベール教授ですが、過去の人物像が全く明確で無く、あの瞬間にレティシアを庇う事は寧ろ不自然だと感じました。ヴィランにも奥行きを与える試みであれば、より丁寧な人物描写に欠けていますし、徹底的に悪人として立たせるのであれば、その通りにすべきです。

映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
スカイ君
なぁ、所でさっき言い掛けたんだけど、レティシアって本当に英字で8文字なのか?ほら、ブレッソン・ダイアリーを開く為に必要なキーワード、レティシアだっただろ、英文字で
映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
モカ君
調べたけど、LetitiaやLeticia以外にも、LaetitiaやLeatitiaがあるみたい。イタリア語だと、Letiziaだったり、ラトビア語だったらLeticijaだったりとバリエーションはあるみたいだから、今回はLeaticiaみたいな綴りだったんじゃない?
映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
スカイ君
あぁ、そうなのか、LeticiaかLetitiaしか知らなかったから7文字じゃね?ってモヤモヤしてた・・・ルパンが綴りを言ってくれてたけど、それにも違和感あったしな、お陰でスッキリしたぜ

そして不自然である事以前に、一元的で魅力を感じられ無かったのがゲラルト。

銀髪でシャープな顔立ちをした男性ですが、アドルフ・ヒトラーのファナティックで冷血漢である事以外には特徴が無く、勿体無い。ヒトラーの存命を固く信じているにしても、その存在を確認する事よりもブレッソン・ダイアリーの入手と解明を優先させる考え方も腑に落ちず、ラストまで首を傾げてその行動を辿っていました。クライマックスの直前にヒトラーの存在を確認したアーネンエルベの組織員(実際は組織員を装っていたICPOとルパン三世一味)から連絡を受けて狂喜していた為、別部隊に捜索させていた事も考えられますがゲラルトの立場や役回りも釈然としない。


映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
スクリーンタイムも多かったのでルパン三世の様な魅力がヴィランにもあれば、かなり良い作品に仕上がったかもしれない


出典:”ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝”『参照::https://eiga.com

ゲスト・キャラクターの中で、ある程度は輪郭が描かれているのはレティシアに限り、ゲラルトは使い切りコンタクト・レンズの様な扱いですし、ランベール教授は脚本も手掛けた山崎監督自身、どの様なキャラクターに仕上げようか迷いながら制作を進めた印象を受ける。

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その物足りない感覚は主演陣が補ってくれるものの、ランベール教授やゲラルトの目的も瞭然としない中でストーリーが進むので、如何なる状況でも緊迫感は一切無い。エクリプスは無限のエネルギー生成器であり、用途次第では地球を壊滅させられる武器にもなりますが、ナチス復活を目論むアーネンエルベ、延いては復活したナチスがエクリプスを手中にしたら具体的に何が起こるのか。今も爪痕を残すヒトラーによる、ロシア人やユダヤ人への酸鼻を極める史上最悪の虐殺行為。ヒトラーは何も地球の壊滅を望んだのでは無いと理解していますが、エクリプスでドイツ以外の国を一掃するのではあるまいし、どの様な災難が待ち受けるのか良く分からない。

結局は莫大だが曖昧な力を有した武器を求め、曖昧な目論見を持った曖昧な悪の組織が曖昧な正義感に突き動かされた世紀の大泥棒一味と邂逅する物語で、全体として考えるとバックボーンが弱い。

無論、この点も世界征服を企む悪の組織に立ち向かうヒーローを描くストーリーとして片付ければ済む話ですし、ルパン三世は従来複雑な悪役の人物描写にスポットライトを当てたり、考察に値する動機やストーリーを重み付けするバックストーリーを持たせる様なアニメーションで無ければ、私は的外れな指摘をしていると言えます。単調なストーリーこそ魅力であれば、『ルパン三世 THE FIRST』は良作です。

他に気になったのは細かい所だけど、もう少し頭を捻れば結構改善されたのではないだろうか

しかし、一旦過去の伝統から離れて映画としてのストーリーを純粋に評価すると、一歩攻め入って欲しい気持ちは誤魔化せない。

CGiでキャラクターがリアルに近付いた事と引き換えに、ストーリーの旨味が失われてしまった様な、口惜しい感情が胸中に残ってしまう。ストーリーには高いポテンシャルを感じた事も拍車を掛けていますが、例えばブレッソン・ダイアリーの解錠にもう少し手間を掛けても良かったと感じました。

ルパン三世とレティシアが持つ鍵を組み合わせるまでは良いとして、キーワードが1分程度で解き明かされてしまうのは拍子抜け。オープニングでパテック・フィリップのパーペチュアル・カレンダーよりも難解に見える機構が動作してダイアリーが封印される様子には、心が躍ったものです。ユニークな解錠の仕掛けを期待していましたが、ブレッソン教授の孫の名前がキーワードなどラップトップのパスワードを誕生日に設定する様な行為。ダイアリーの内容もレティシアが難なく読み解いてしまいますし、考古学の知見を駆使するにしても、単に古代のアルファベットを知っている以上に面白い捻りが欲しいと思ってしまいました。

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映画『ルパン三世 THE FIRST』の評価とネタバレあり感想
レティシアとのサイドストーリーはエピローグで5年後を是非見せて欲しかった


出典:”ルパン三世 THE FIRST(2019) ©東宝”『参照::https://eiga.com

そしてアクションが楽しめたエクリプス最後の砦は見逃すとしても、その前に控えていたトラップもルパン三世の頭脳を煩わせる程でも無い。殊に石川五ェ門の斬鉄剣を使う事になった仕掛けは、頭を使うよりも偶然必要なグッズを持ち合わせている事に依存していて、肩透かしを受けた気分。一方で斬鉄剣を我が子の如く可愛がる石川五ェ門の茶目っ気が楽しめる瞬間ですが、ミステリーを犠牲にしなくても良かったはず。

批判しようとすれば、『ルパン三世 THE FIRST』はこうして細かい点から大筋のストーリーまで不満は様々ですが、総じてメインのキャラクターの魅力は活きているし、娯楽には誂え向きの映画と言っても差し支えはありません。

『ルパン三世 THE FIRST』に含まれている”The FIRST”の文言は本作を以て、不動の人気を誇りつつも昨今は下火になっていたルパン三世、モンキー・パンチの名作を現代へ姿を新たに放ち、再びその炎を燃え上がらせようとしている想いが込められている様に感じます。違和感や不自然な点はあるものの、オーディエンスを楽しませようとする制作陣の意気込みは魅力あるキャラクターの描き方から確かに感じられるし、今年逝去された原作者への温かな想いも垣間見える作品でした。

続編の制作も充分に予想される作品なので、本作よりも驚きを感じられるストーリー、そして主演陣以外のキャラクターに対しても丁寧な描写を手掛けて頂ける事に今後の期待を寄せたい。


この映画を観られるサイト

『ルパン三世 THE FIRST』は12月6日より全国の劇場で上映!CGiで描かれるリアルなキャラクター、そしてそのアクションが魅力なので4DXでの鑑賞は間違い無くお勧めしたいです。

まとめ

主演キャラクターの魅力が輝き、アクションも楽しめる『ルパン三世 THE FIRST』はファンで無くても相応に娯楽映画として楽しめる作品。美女、殊に峰不二子との絡みは殆どありませんし、峰不二子のトレードマークとも言えるセクシーな色香も本作ではミニマムですが、不満と呼ぶには至りません。

不満を言うならば、驚きが全く無いストーリーと安易に解き明かされる謎、そして主力のキャラクターとは対照的に杜撰な人物像を湛えた悪役。

全体的にバランスが取れた作品とも言い難いのですが、途方も無く派手と言うべきか浮世離れしたアクションを是非楽しんで頂きたい作品で、特にThe SECONDが制作されるのであればもう一歩踏み込んだストーリーに期待したい映画でした。

ルパン三世 THE FIRST
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