映画『レプリカズ』のあらすじと評価!前半はネタバレなしでレビューも、あまりに酷い内容にネタバレも何も無い

SF レプリカズ映画評価

レプリカズ


監督:ジェフリー・ナックマノフ
出演:キアヌ・リーブス、アリス・イヴ、トーマス・ミドルディッチ、ジョン・オーティス 他
言語:英語
リリース年:2018
評価★☆☆☆☆☆☆☆☆☆



~”どこから始めたら良いのやら・・・チープなスリルに惹かれる自信がある人でないと愉しめない事は保証します”~
~”ぼやっとして死のうが生きようがどうでも良いキャラクター、不可解で幼稚なストーリー、コレ本当に映画?”~

もくじ


あらすじ


ウィリアム・フォスターは神経科学者
幸福な生活を送っていたが、自動車事故で妻子を失ってしまう
事故をきっかけに別人のようになり、家族を生き返らせるようとする
持てる知識を総動員してクローン技術で蘇生を試みるウィリアム
クローン人間の作成は違法だったが、ウィリアムは法の網の目をかいくぐって研究を続けた
そして妻子を取り戻したかの様に思えたが、彼には別の魔の手が迫っていた・・・


レビュー

“それで、君は何が言いたいのかね”

杜撰な資料が刺さるはずも無く、会議で厳しく問い詰められた経験は誰しもあるのでは。『レプリカズ』にも全く同じ問を投げかけたいです。コンセプトやメッセージもなく、何の感情も喚起しない動画作品

ウィリアム・”ウィル”・フォスターはバイオナイン社に勤める神経科学者。死者の脳を構成する神経ニューロンを人工的に複製し、ロボットへ移植する技術を開発していましたが、尽く失敗します。落ち込んだウィルは妻と子供を連れて、旅行へ出掛けますが数メートル先も見えない大雨に襲われ、事故でウィルを除いた全員が死亡。突如訪れた惨たらしい現実に耐えられず、妻子をクローン技術で蘇らせようと考えたウィルは専門家で同僚のエド・ホイットルの協力を仰ぎます。

バイオナイン社からクローニング・ポッドを秘密裏に持ち出した二人は、フォスター家のガレージで死んだ妻子の蘇生を試みます

『レプリカズ』の数ある問題の一つは物語のエッセンスを占める、倫理観の欠如。皆目、考えた様子もありません。テーマとなるクローニングに関しては考察の余地が多分にあります。何故モラルに反するのか、その理由は掛け替えの無い家族を取り戻す為だとしても許されないのか、最も苦しむのは誰なのか。『レプリカズ』に答えは一切ありません

『レプリカズ』、君は何が言いたいのかね。


レプリカズ映画ネタバレ
顔を覚える間も無く都合の良い事故で死亡する妻のモナ・フォスター


出典:”Replicas(2018) ©Entertainment Studios Motion Pictures”

『レプリカズ』に憑く退屈な呪いは、そうした中身の無さに起因しています。反面、表面的にも評価出来るポイントがあるかと言えば、それもありません。強いて特筆するとしたら、キアヌ・リーヴスのパフォーマンスですが、リーヴスのフィルモグラフィーに鑑みると触れて良いのかさえ躊躇します。ラストでサスペンス色を強めるも、時既に遅し。ストーリーとも腑に落ちない点が随所に散見され、流れに集中出来ない。

然りとて『オースティン・パワーズ』(1998年)の様に滑稽過ぎてコミカルなエンターテインメントとして成立している映画でもない

『レプリカズ』は革新的なストーリーを思い付いた気になって、自己満足に浸っている作品。捻りを利かせて観客の驚嘆を誘おうと躍起ですが、それ以前にストーリーは元より、キャラクターに少しでも感情移入する理由さえ与えない『レプリカズ』は芸術作品として落第と言わざるを得ません。


レプリカズ映画ネタバレ
ウィリアムが開発を試みるロボットはダサい以前に、フェイクな質感が『レプリカズ』のチープな側面を際立たせます


出典:”Replicas(2018) ©Entertainment Studios Motion Pictures”

表面的な魅力と言えば、映像美。

アレックス・ガーランド監督の『エクス・マキナ』を想起させるロボットが登場しますが、PS4のプロモーションを観ている様な気分です。金属のジョイントが催すメカニカルな動きを意図したのかも知れませんが、動作も不自然な上に質感も異質です。予算上の関係かは分かりかねますが、中途半端にチープで腹立たしい完成度。2000年初頭のCGi技術を用いたのか。

キアヌ・リーヴスの絶大なファンでどんな作品でも構わず鑑賞すると言うならば別ですが、敢えて観る必要が一切無い映画です。

レプリカズ 映画
スカイ君
オレもこれ以上は敢えて言いたくはないが・・・そうだな、カレーを宣伝してたのに実際に出されたのは、カレー食べた後の皿を洗いだ残飯カレー風味の水ってトコだな
モカ君
えー それはさすがに言い過ぎじゃない?確かに面白くは無かったけど・・・
レプリカズ映画
スカイ君
要は味が分かんない映画なんだよ『レプリカズ』は。水みたいに透明で澄んでるワケでもないし、”カレー・・・か?でも不味い”と思ってしまう良くワカラン作品だ・・・こっからはネタバレ含むんで一応は例によって忠告だ
名前も覚えきる前に、殺す事を是とするナックマノフ監督

登場後、ものの10分で死んだ人物を案ずるはずがない

しかしナックマノフ監督には同意してもらえそうにありません。ウィルの妻、モナ・フォスターを始め、『レプリカズ』のストーリーを推し進める起爆剤はナイス・トゥ・ミーチューの直後に亡き者になります。命運が気になるキャラクターではなく、雑な脚本の餌食になっただけ。『レプリカズ』はランタイムの多くをフォスター家を蘇生するまでのドラマに充てますが、この時間が至って無益

一瞥しただけで惹きつけられるカリスマ性も無ければ、人間として知る余裕も無く、ウィルとモナがどれ程愛し合っているのかも分かりません。『レプリカズ』で生き返らせるのはフォスター一家である理由がない。蘇生に失敗した所で涙は流れませんし、成功した所で安堵もしないストーリーを延々と欠伸を噛み殺しつつ眺めるのも辛い

そして無感情と言えば出演者のパフォーマンスも総じてロボットチック。フォスター家が全員ターミネーターである可能性を妄想している方が、『レプリカズ』を観ているよりも幾分か面白いです。

モナ・フォスターに扮するアリス・イヴは、クローンされる前から至る感性に欠落したマネキンの様に振る舞います。『ブレードランナー 2049』(2017年)のA.I.ホログラム、ジョイの方が人間味もあって愛着が湧いてしまう程です。ナックマノフ監督の指示なのか、イヴのチョイスだったのか図りかねますが、映画らしさを著しく損なうパフォーマンスである事は明白と言わざるを得ません。


レプリカズ ネタバレ
『レプリカズ』で唯一人間味があるリーヴスも共感出来るキャラクターではない


出典:”Replicas(2018) ©Entertainment Studios Motion Pictures”

その点、比較的キアヌ・リーヴズのパフォーマンスが際立ちます。仕事に頭を悩ませたり、妻子の遺体を前に途方に暮れたり、蘇生の成行きに煩慮したり、長時間眉を顰めているに過ぎませんが、『レプリカズ』の文脈では最も人間らしい演技を届けてくれます。然りとて、リーヴスとイヴの相性にも特別な輝きを感じる事も無い為、リーヴス一人のパフォーマンスに言及する事は、やはり無意味と言えます。

モナの遺体を前に、豪雨の中で哀哭するウィルを観ても二人が夫婦である事を思い出すのも一苦労。しかし、ストーリーに空いた大穴は空虚なキャラクターだけではありません。

キアヌ・リーヴス、目指すはサイコパスか

『ジョン・ウィック』(2014年)で亡き妻が遺した仔犬を殺害された事で、酸鼻を極める復讐劇に出るキアヌ・リーヴスとは事情がまるで異なります。何より、そもそも妻子が死ぬ事になる事故シーンは、ウィルが意図的に引き起こしたと言っても誇張ではありません

大雨で数メートル先も判然としない中で車を走らせるだけでなく、対向車線から来たトラックとの正面衝突を間一髪で避けて命拾いした後も、変わらぬスピードで運転を続けるウィル。当然、雨が弱まったのではなく、理解不能な事に先を急ぎ、間もなく致命的な事故を起こしてしまいます

失笑。

家族の遺体を水際まで運んで悼んだのも束の間。極めつけに、降りしきる豪雨の中、エドを突如呼びつけてクローン蘇生を実行すべく、遺体をガレージに運び込んでしまいます。倫理や良心を振り返って葛藤する様子も全く無く、有無を言わさずクローニングを決意し、その後も然程迷う事無く粛々と国家的大罪に手を染めます

それ以前に、“コピー”として甦った人間の気持ちを最も考えるべきです。クローンが禁じられた世界で前例の無い存在として生きる事が出来るのか。クローニングされる前の記憶を持たずにクローンである事を死ぬまで隠し通せるのか。ウィルが最愛の家族に齎しかねない、死を遥かに超越した苦悩を考え抜いた描写は僅かもありません。


レプリカズ ネタバレ
易々とクローン人間をいとも簡単に造ってしまうウィリアムとエド


出典:”Replicas(2018) ©Entertainment Studios Motion Pictures”

退屈で人物像が分からないキャラクター陣に留まらず、欠片として理解出来ないソシオパスなウィルにも魅力は一切感じません。『レプリカズ』には惹きつけられる人物が更々居ないのです。

レプリカズ ネタバレ
スカイ君
クローンとか死刑とか倫理に纏わるテーマって難しいと思うんだが、だからこそ映像体験を通し新しい発想や捉え方を知る事に意味があるんじゃないかな
モカ君
難しい事はわかんないけど、確かに、何というか悲しい気持ちになったり、ウィルが辛そうだなって思えなかったなぁ
レプリカズ ネタバレ
スカイ君
あぁ、ストーリーもテーマもキャラクターもスッカスカだ
ストーリーも実に風通しの良い穴だらけ

既に述べた通り、物語そのものにも無視出来ないポイントが多々あります。

ソシオパスのウィルはさて置き、エドがウィルの狂気の沙汰に加担するのも頷けません。エドの方が比較的冷静な様子ですが、ウィルの計略に厭忌する描写はありつつも、 結果的に渋々片棒を担ぐ理由が不明なままストーリーは進行します。ウィルに弱みを握られているのか、或いはエドが秘かにモナを思慕していたのか、想像するだけ無駄。好都合な事にエドがクローン技術に造詣が深い人物となると、改めて呆れる外ありません。

クローニングに必要な重要設備を研究所から個人のガレージに難なく持ち出せた事も不自然。幸いにもラストでジョーンズが気付いていた事を告白しますが、その意図も解せません。ウィルが家族を亡くし、クローンを造ろうとしている事まで想像し、且つ成功した結果ジョーンズは具体的に何をするつもりだったのか判然としません。何より、度々発言がある”アルゴリズム”とは何を指すのか、監督も理解していないのではないか。

適当に響きの良いワードを脚本に盛り込んで、無理にSF映画らしさを演出しようと考えた様にしか解釈出来ません


レプリカズ ネタバレ
アルゴリズム?えーとミトコンドリア?カウンタック、ランボルギーニ!サイエンスYEAH!


出典:”Replicas(2018) ©Entertainment Studios Motion Pictures”

『レプリカズ』は総じて目新しさが無いだけでなく、深みも意味も無い映画。折角キアヌ・リーヴスを起用したチープなSF映画をプロデュースするのであれば、『マトリックス』(1999年)のパロディに寄せて制作した方が良かったはず。

末っ子に思いを馳せるリーヴスが、ユニコーンの縫いぐるみを抱えて惨めな表情を浮かべて座り込むシーンなど、コラージュされてSNSに出回りそうな程に滑稽。臍が茶を沸かしかねない、『レプリカズ』の観るに堪えないストーリーは是非、他人の神経ニューロンをマッピングしてもらって、別の誰かを身代わりにしたくなってしまう映画でした。


この映画を観られるサイト

『レプリカズ』は2019年5月17日に劇場公開!しかし、レビューをご覧頂けたのであればお察しの通り、決してお勧めは出来ない作品です。

まとめ

考察の余地もない、風穴だらけのストーリー。

パフォーマンス、映像のクォリティ、テーマの何一つを例に取ってもグッドな評価は与えられない『レプリカズ』は観る理由が見当たりませんでした。

クローンや人の生死をテーマにするのであれば、そこには監督なりのメッセージや想いが本来は宿るもの。そうでなければ、せめて笑えるコメディにでも仕立てあげて欲しかったものの、コメディにもなっていない残念な映画でした。

レプリカズ映画評価
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