『サイド・エフェクト』は、惜しい作品!四捨五入したら1級のサイコ・スリラー

サイド・エフェクト


監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム
言語:英語
リリース年:2013
評価★★★★★★☆☆☆☆



~”キャストのパフォーマンスは見事だが、ラストへ向かうにかけて俄に信じがたくなっていくサイコ・ミステリー”~

 もくじ


 あらすじ


鬱病を患っていたエミリー・テイラー
彼女は精神科医のバンクス医師にかかるが、処方された新薬の副作用によって発症した夢遊病で夫を殺してしまう
医師として社会的信頼を失ったバンクスは新薬についてやエミリーの周辺を独自に調査を開始
やがて、隠された衝撃的な真実にたどりつくー


 レビュー

シナリオそのものは興味深いし、前半部分は確かな手応えを感じて観入ってしまいます。インサイダー取引で4年間服役していた夫を今も愛するエミリーは、元の夫婦生活に戻ろうと頑張りますが再就職のハードルは高く、お金が徐々に二人にとって問題になりつつある所から話が始まります。

担当の精神科医ジョナサン・バンクス医師は何種類か抗鬱剤を処方しますが、エミリーの精神状態に改善は見られない。そこでエミリーを以前担当していた精神科医、ヴィクトリア・シーバート医師に相談した結果、新薬のアブリクシアを投与してみる事を勧められます。

しかし、事態は最悪の結果に。

新薬で夢遊病を誘発し、夫を刺殺してしまうエミリー。これだけでもショッキングですが、ストーリー的なドンデン返しはラストに待ち受けています。


鬱に侵された若く美しい妻、エミリーを演じるルーニー・マーラ


出典:”Side Effects(2013) ©Endgame Entertainment”

ちなみに、タイトルの『サイド・エフェクト』とは日本語で言うと”副作用”。エミリーの夢遊病を引き起こした薬品の副作用を指す事は勿論ですが、バンクスや彼女の夫にもある意味”副作用”を引き起こしている事もタイトルの意図。。

『サイド・エフェクト』ってそういう意味ね。

そして中盤あたりで、映画が前半で語っていたストーリーを素直に受け入れるべきではないことに気付き始めます。この辺が面白さのピーク。薬の副作用で人が死んだとしたら、それは処方した医者の責任か、製薬会社の責任か。

この場合、処方された人物Aが別の人物を殺してしまっているので人物Aの責任の所在も論点になります。うーん、難しい。2020年頃までに各社が実現しようとしている、自動運転にも似た問題ですよね。自動運転の車が人を轢き殺してしまった場合、運転者の責任かメーカーの責任か・・・


スリラー映画のサイドエフェクト
4年ぶりに出所した夫のマーティンを待つ最悪の結果は・・・


出典:”Side Effects(2013) ©Endgame Entertainment”

ですが二転三転するストーリーに、最早問題は別のところにある事を察します。あれ?俺考えてる事って的外れだった?っていうあの感覚。

この映画を観るなら、絶対に口が軽い友達とは観ない事をお勧めします。ラスト15分で”あん?”と思うかどうかは置いておいて、ドンデン返しが待っているのでネタバレされるのは勿体ないです。

という事で、これから観るという人はこの先のレビューは読まない様に!(笑)残念ながら自信を持ってお勧めできる作品ではありませんが、他に観たい映画もないし、そこそこなサスペンスを楽しみたいなという方向けです。

スカイ君
しつこい様だが、ここから先はネタバレありだ!スリラーを堪能したいなら、これ以上は読まない事をお勧めするぜ
主人公とシンクロできる前半のストーリーテリング

『サイド・エフェクト』のメインキャラクターとなるエミリーから見た世界は、暗く、分断された世界です。到底楽観的な気持ちで世界を観られない彼女の内心を、ソダーバーグ監督は見事に表現してくれます。

映画の冒頭を観ていると、知らず知らずの内にエミリーとシンクロし始める自分が居ました。何か、日々日々の生活がこんな風に見えるのって嫌だな。

そんなエミリーを(多分)さらに憂鬱な気分にさせているであろう、医者の存在。と言うよりは、医療業界全体の問題と言うべきなのかな。個人的にも最近の医者のアタリやハズれって年々大きくなっている気がする。



サイド・エフェクト
ジュード・ロウ演じるバンクス医師はエミリーの策略を暴こうと画策する


出典:”Side Effects(2013) ©Endgame Entertainment”

自分もこの間、マイコプラズマ肺炎かも知れない風邪っぽい症状が出たので心配で病院に行ったら”心配なら肺炎に効く抗生剤も念の為出しますけど、どうします?”だって。いや、患者の俺が判断する事なの?だったら薬局で充分だよね、あなたの医者としての存在意義って何なんですか?っていう。

そんな疑問に似たものを感じているのは多分、今世を生きる殆どの人なのでは。あ、勿論凄く良いお医者さんもいらっしゃいますけどね。

『サイド・エフェクト』でも、エミリーを通じてこのくだらない医療業界の実態を味わう事になります。監督にも明らかに風刺する意図がある様ですしね。『サイド・エフェクト』に登場する医者はまるで製薬会社のマリオネットの様な連中で、それぞれあれやこれや違う薬品を勧めて来ます。

観ているだけで、医療業界と製薬業界の癒着にムカムカ。まぁ、そういうものなんでしょうけど。

悪夢の様な出来事の真実を解説するラストは衝撃的だが・・・

『サイド・エフェクト』の映画としての価値、決定打を与えるのはラストかなと。前半は非常に良いビルドアップですし、スリラーのエッセンスも上手く散りばめられていて、巧みに注意を引き付けます。

キャストのパフォーマンスも申し分ない。超美人女優のルーニー・マーラーは心に傷を負った幽霊の様な女性を見事に演じます。月夜が似合いそうな、すこし淋しげな雰囲気が似合う大人の女性。私はこの映画で初めて彼女を知りましたが、一度観たら忘れられない美人です。

恐怖に慄く女性であると同時に恐怖に陥れる女性を演じられる稀有なタイプ。

夫のマーティンを演じるチャニング・テイタムも、ガタイの良いルックスに頼らない演技も出来る実力派である事を証明してくれます。


キャサリン・ゼタ・ジョーンズのサイド・エフェクト
精神科医のヴィクトリアはエミリーと共謀していた事が明かされる


出典:”Side Effects(2013) ©Endgame Entertainment”

なので、やはりサイコ・スリラーとしての『サイド・エフェクト』の命運はラストにかかっています。

エミリーとヴィクトリアのレズビアンな関係性から始まる“え、マジですか”なタネ明かしの数々。計画殺人だった事は確かに斜め上からジャブを食らった感じがしましたが、その経緯や動機はあまり腹落ちしない

なので最後のドンデン返しはちょっと押し込まれた感じ。

総合的には“悪くない”けど、良いサスペンス映画を求められたら、個人的には代表作品として挙げる事にはならないのが『サイド・エフェクト』。ノワールなスタイルも主張する映画なので、その点でも印象面での好き嫌いが分かれそうな作品です。


 この映画を観られるサイト

Huluはドラマが強いのかな、最近レビューしている映画の殆どがないですね。U-NEXT安定して必ずと言って良い程コンテンツがあるのですが。

というわけで、『サイド・エフェクト』を観るならこちらのサービスへどうぞ!いずれも無料体験期間を設けていますので、取り敢えず善は急げ、試してみては如何でしょうか。

 

 

 

 まとめ

ソダーバーグ監督の巧みなスクリーンワークは『サイド・エフェクト』のトーンにピッタリな雰囲気を醸し出しますし、静かに、しかししっかりと観る者の注目を掴み取ります。非常に引き付けられる映画。

ですが、ラストのドンデン返しのドンデンクォリティはちょっと疑問。前半でミステリー風呂敷を広げすぎて、思った以上に回収に困ったのかなと。努力賞は間違いなくあげられるけど。

総じて惜しい。全力でお勧めできるサイコ・スリラーではありませんでしたが、ルーニーの美貌とキャスト全体のパフォーマンスも併せて楽しむなら一見の価値ありかな。

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