クワイエット・プレイス
監督:ジョン・クラシンスキー
出演:ジョン・クラシンスキー、エミリー・ブラント 他
言語:英語
リリース年:2018
評価:★★★★★★★★☆☆
~”静けさこそが最大のサスペンスになる、ジワジワ系”~
もくじ
あらすじ
地球に現れた”何か”により、人類は滅亡の危機を迎えていた
“何か”は盲目だが音に反応し、微小な音でも正確に音源の位置を特定して襲う
生き残った人間は手話で会話し、物音を一切立てない暮らしを送っていた
そんな生き残った一組の家族、アボット家のエヴリンとリー夫婦は
“何か”の弱点を探していたがエヴリンは出産を控えていた
静寂を破れば死は免れない中、”何か”が一家に迫るー
レビュー
幽霊系ではなく、いわゆるモンスター系のホラー。ランペイジやジュラシックワールドの様な獣というより、見るに耐えないバケモノが迫り来る恐怖がスリリングなサバイバル映画です。
音を立てたらゲームオーバーな設定は目新しくないですし、何なら2016年のフェデ・アルバレス監督による”ドント・ブリーズ”も系統としては殆ど一緒。相手が気の違った盲目ジジィか、気色の悪いバケモノかという設定の違いくらいだろうか。
ちなみにグロさはあまり無いけど、エヴリンが釘を踏んだシーンだけはブルブルしました。
個人的に似た体験をしたトラウマもあって・・・・あぁ、ムリ、痛い、ムリ。
個人的にはエイリアンなんかよりも怖かったです、バケモノの見た目が。
と言うか、何処かの山の奥に夜中に行ったら普通に居そうで余計怖い。
音を立てると即死するので、劇中は物音が殆どしないし役者の話し声も殆どしない。
それだけで独特の雰囲気、違和感があるのでその異常っぷりにこちらも緊張します。
静まり返った街、明らかに荒廃したスーパーやドラッグストアを静かに駆け抜ける人影。
何処から呼吸音を聞きつけてやってくるか分からないバケモノに怯えて暮らすなんて、普通の人間なら発狂するんじゃないかなと思いながら観ていました。
と言うか、私が発狂しそうです。
登場人物も一切と言って良いほど声を出さないし、物音も極力立てない様に工夫しているので静けさが本当に不気味。
音がしない映画なんて想像するだけで気味悪くないでしょうか。
だからこそ、普通のホラー映画以上にジャンプスケア(シーン・・・からのワァ!ってやつ)が余計に怖い。
ちょっと残念だったのは、そのジャンプスケアをせっかく活かせるのにカメラアングル的に“あ、来るな”ってのが割と初見でも分かっちゃう事。
撮り方も、もっと分かりづらく予想しないタイミングでバケモノが出る様にすれば良いのにと思いましたが、そうすると怖過ぎるからやめたのかな。
程よくストーリーが展開するので、あまり飽きないのが良いポイント。
ホラー映画って何かと撮り方やストーリー進行一つで、”いいや”ってなりがちじゃないですか。
クワイエット・プレイスは冒頭の入りが上手くて、始まって10分くらいで”えっ”となるハプニングが発生します。
音を立てると何が待っているか、目の当たりにしてしまうんですね。
その衝撃で身が入って、その後少しペースダウンしてもドキドキ感が続きます。
アボット家がひそひそと暮らしているシーンがその後続きますが、
音を立てたらどうなるかというのが脳裏に焼き付いていると退屈しないです。
手に持ってるコップを落としたりしないか、席を立った時に椅子をガッタンしないか・・・普通に立てちゃいそうな音にビクビクします。
娘のレーガンが元々耳が聞こえない設定が実は素敵な捻りだなと。
身体障害というネガティブなイメージを、非常にポジティブな要素として描いてくれている点はエレガントだなと。
異常事態の中、家族が一丸となって生き残れているのは彼女のお陰でもあるのです。
“何か”の存在と関係なく、アボット家は全員娘の為に手話を習う必要があり、
その支え合いが思いもよらない形で家族を繋ぎ留めたと言えます。
クレバーだなと素直に感心したのが、やっぱり超シンプルな”音を立てたらゲームオーバー”という設定。
何か、映画館も音立てちゃ駄目だし、当たり前過ぎて意識しなかったけどいざ”立てたら死ぬよ”と言われたら、
必死に静かにする事に集中する・・・けど、それが逆に音を立てたくさせてしまう。
大声で叫ぶだけで自殺ができちゃうって言う世界そのものが良く考えたら怖い。
しかも置かれている状況の不条理さや異常さを考えると、誰しも叫びたくなるはず。
バケモノの醜さ、悍ましさよりも”この世界”が怖い。
やっぱりシンプルな怖さってすごく強力だなと改めて感じた映画でした。
この映画を観られるサイト
現在のところ、日本未公開映画ですので配信予定の国内動画配信サービスはありませんが、公開後に改めて更新致します。
まとめ
新感覚のサバイバルホラー。いわゆる、あっても良さそうなのに意外と今までなかった、的を射た作品と言えます。流血シーンなどありますが、グロやゴアに力を入れた作品ではないのでちょっとした流血が大丈夫なら特に問題ないはず。
最近の幽霊や呪いやらというホラーは苦手という方でも、スリルが好きならこのサスペンスフルな映画を存分に楽しめるのではないかと思います。
終わりかけている夏、最後にちょっとブルッとしてみませんか?