史上初、黒人主演のハリウッド超大作ブラックパンサー

SF

ブラックパンサー


監督:ライアン・クーグラー
出演:チャドウィック・ボーズマン、ダナイ・グリラ、レティーシャ・ライト、ルピタ・ニョンゴ 他
言語:英語
リリース年:2018
評価★★★★★★★☆☆☆



~”MCU映画初となる豪華黒人キャストが贈るエンターテインメント”~
~”シビル・ウォー勃発までワカンダ王国は何をしていたのか、その歴史が明らかに”~

 もくじ


 あらすじ


「キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー」でジモの襲撃により死去した国王ティ・チャカの跡を継ぎ、
ワカンダ王国の王となったティ・チャラ
一方で、イギリスの博物館でワカンダの希少な金属ヴィブラニウムを使った展示品が
ユリシーズ・クロウによって盗まれる事件が発生する
この事件を発端にクロウを捕らえようとするティ・チャラ達だったが任務は失敗
しかしその後、そのクロウの遺体を手土産にワカンダ王国へやってきた1人の青年がいた
彼はティ・チャラの従兄弟で、名はエリック・スティーブン
エリックの出生と野望、ティ・チャカが隠した過去がワカンダ王国を大きく揺さぶる・・・


 レビュー

鑑賞後の直感的な印象は“微妙”。何となく、目新しい要素がないマーベル映画だなという感じですが、この映画が世界中で称賛されている理由は今流行りのBlack Lives Matter(黒人の命も大切)運動

黒人キャストがビッグな映画の主要陣として起用され、彼らが悪に立ち向かう姿が描かれているからでしょう。そうした政治的な要素も映画として重要と考える事に全く異論はないのですが・・・マーベルファンとしては物足りない。特にブラックパンサーはコンセプトもコスチュームも格好良くて期待が高まっていただけに、ちょっと残念。多角的に評価できる為、難しいけどレビューのし甲斐がある映画。


ボーズマン演じるティ・チャラと、ライトが演じる妹のシュリ

出典:”Black Panther(2018) ©Marvel Studios”

とは言え、良い所も非常に多い。ガッカリしないのはやっぱりビジュアル。ワカンダ王国の美しさは素晴らしい。

スカイ君
おっと、ココから先はネタバレありだから、読むなら注意してくれ!
ディテールに凝った画になる美しさ

アフリカの広大な自然を文明の発展と上手く調和させた絶景が広がり、大画面で観ると息を呑む程。あまりアフリカ文化には詳しくないのですが、随所に登場する民族舞踊なども雰囲気と気分が高まって観ていて実に楽しい。BGMも映像とよくマッチしていて、大変な工夫がこらされているのは感じました。

ソウルでのカーチェイスもブラック・パンサーらしくネオンが彩る夜の街でのこと。
最新のLEXUS LC(この車、限定色な上に超絶カッコいい・・・登場後5分で大破したけど)の艷やかなボディに映る街の景観も綺麗。

アフリカに詳しい人なら、きっと美しい背景に隠されたシンボルやオブジェクト、ダンスや彼らの儀式それぞれに意味を見いだせて、この映画の本質的なメッセージを理解できたかも?とは思います。

 

派手なアクションシーケンスは健在だけどスタイルは好みが分かれそう

王座を争い、ティ・チャラに宣戦布告をするエムバク

出典:”Black Panther(2018) ©Marvel Studios”

とても楽しめたのは、ジャバリ族のエムバクと王座を巡って対決するシーン

ブラックパンサーの力を奪われて、対等に一人の男として闘うティ・チャラめっちゃカッコイイ
映画全体を通して一番好きだった戦闘シーンはここかも知れないくらい。

夜の闇に紛れたアクションも必見。だけど、個人的にはやはりシビル・ウォーでルッソ兄弟が監督したアクションにはちょっと及ばないかなというところ。
スーツを構成するナノ粒子に運動エネルギーを蓄積して解放する新機能を駆使したラストの決戦は、スーツの力をフル活用した闘いが観られて満足だけどね。

ブラック・パンサーらしい俊敏なアクションがもっと欲しかったのは総じて否めないし、
スローモーションで撮影したカットが多すぎるのは残念。
シーンの良さを最大限に引き出すなら、寧ろ人間業ではないアクションをギリギリ目で追える速さ見せてくれた方が”あっ”と驚くと思う。

一昔前のちょっとスパイ映画にある様な、2丁の銃のマガジンをシャシャッと入れ替える場面をスローモーションで再生するアレ。
凄いというより、“あり得ない”という印象を余計に与えてしまい、却ってかっこ悪くなると思うんだよね。
どうやってやったかを見せるよりも、結果として2秒でマガジンを入れ替えてしまったという方がインパクトが強い。

まぁ、この辺は好みの問題かなとは思うけどもね。
それにしてもアベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロンと言いブラック・パンサーと言い、韓国ロケは多いけど日本には来てくれないなぁ・・・。。


最新技術を駆使して王国の過ちを正そうと奮闘するティ・チャラ

出典:”Black Panther(2018) ©Marvel Studios”

 

悪役も一味違って魅力的

一度はティ・チャラから王座を勝ち取ったキルモンガー

出典:”Black Panther(2018) ©Marvel Studios”

今回、主役と同じくらいクールなのが悪役のキルモンガー

根源が憎しみであれ、強い意志を持って行動しているのはそんじょそこらの悪役とは一味違う。
権力も財力もなく、幼い頃に父親を殺された彼は自らを鍛え、名門大学卒業後に軍に従事し、徐々に闇の犯罪界に身を染めていった。
それも全ては父親を殺したワカンダ王国に報復するだけでなく、自分の様に無力で迫害されてしまう世界中の黒人にワカンダ王国の持つ技術力や資源を分かち合う為。

動機としては、共感せざるを得ないというか”よく居る悪役”感がないところに惹かれます。

憎悪に突き動かされる思想は人に理解されるものではないけど、それを全うな手段で突き通そうとする点は本当に悪役と言えるのかさえ分からなくなるところ。行動が荒々しく暴力的な男なので印象は悪いですが、王座を継いだ方法もティ・チャラと一対一のフェアな対決で倒したまで。人を平気で殺す人間性は問題だけど、決して狡猾で汚い悪役では無い点に魅力を感じます

彼の思想を語るとそれこそ先述の政治的要素に触れる事になりますが、世の黒人たちが極度の差別や迫害の被害者となるこの世の中を変えたい想いは間違っていないと感じました。

国を守る為に犠牲になった青年、キルモンガーを憐れんでワカンダとしてあるべき姿を見通したティ・チャラはさすが王の器と言えるところ。こうしたヒーローものでは、陰と陽を体現する様に似て非なる者同士の諍いがよく描かれますが、ブラックパンサーではそれがとても顕著。やり方が違うけど、実は目的は一緒で一方は恵まれずに歪んでしまった者。っていう目線で観ると、ティ・チャラとキルモンガーが争うところはハートブレイキング。

そうした、他のマーベル映画では中々考えない事も考えさせられるところが特徴的なブラック・パンサー。
アメコミ色が強すぎる派手な作品はちょっと苦手な人でも、一見の価値はある作品かなと思います。


 この映画を観られるサイト

ナノテクノロジーを使った最新のスーツに秘められた新たな武器の使いドコロも見逃せないブラックパンサー。

2018年9月時点で見放題対象になっておりませんが、U-NEXTでは無料体験登録時にボーナス付与されるポイントを使って実質無料で視聴できます。

 

 

 

 まとめ

アフリカ文化やアメリカの社会現象に詳しい人が観たら、とても満足するかも知れない映画。

あのミシェル・オバマ元ファースト・レディが絶賛したというのだから、間違いなくマーベルの枠を超えて私が思う以上に魅力がある映画なんだろうとは思います。ただ、ヒーローものとして気楽に楽しむ事もできるので、ファミリーやカップルでも観ても良いでしょう。ワカンダ・フォー・エバー!

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