もくじ
2008年のヒット作の続編アイアンマン2
2019年現在も世界の熱は収まりを見せないマーベル映画。いよいよ4月にアベンジャーズ:エンドゲームが公開されますね!
2010年に公開されたアイアンマン2は前作ほどヒットせず、可もなく不可もなくと言ったところ。
アイアンマン2は天才発明家で実業家のトニー・スタークに一方的な逆恨みを抱いたロシアの物理学者イワン・ヴァンコの復讐劇。アイアンマンスーツの原動力となるアークリアクターを再現し、独自のスーツ”ウィップラッシュ”を作り上げたヴァンコがトニーに牙を向く。
出典:”Iron Man 2(2010) ©Marvel Studios”
個人的には、一瞬で敗けるウィップラッシュが弱すぎるし拍子抜け。アイアンマンに期待するイノベーティヴなテクノロジーやガジェットも、今作ではスーツに变化するブリーフケースくらい。アイアンマン映画にしては微妙でしたが、英語を学ぶには良い機会!
アイアンマンスーツを引き渡す様に国から要請されるシーン
さて、前作で明るみになったトニーが開発し、所有するアイアンマンスーツ。
本人は国民の平和を守る為に必要な、彼の身体の一部でもあると主張しますが、米国政府は危険な武器を個人が所有していると見做してスーツの引き渡しを要請。米国軍の軍事兵器請負会社であるハマー・インダストリーズCEO、ジャスティン・ハマーはヒアリングで聴衆とトニーの説得を試みますが・・・。
軍事兵器の専門家として紹介されたハマーに対し、”議事にでも残して欲しいから言うが、ハマーを見て本物のエキスパートが一体いつになったら登場するのか不安になってきたよ”と早速揶揄するトニー。
それに対し記者陣、引き渡しを要請する米国政府の上院議員らの面々にちょっとしたスピーチをするシーンがこちら。(脚本から一部抜粋)
出典:”Iron Man 2(2010) ©Marvel Studios”
Hammer: Senator, if I may. I may well not be an expert, but you know who was the expert? Your dad. Howard Stark.
Really a father to us all, and to the military-industrial age. Let’s just be clear, he was no flower child. He was a lion. We all know why we’re here.
In the last six months, Anthony Stark has created a sword with untold possibilities. And yet, he insists it’s a shield.
He asks us to trust him as we cower behind it. I wish I were comforted, Anthony, I really do. I’d love to leave my door unlocked when I leave the house, but this ain’t Canada.
You know, we live in a world of grave threats, threats that Mr Stark will not always be able to foresee. Thank you. God bless Iron Man. God bless America.
では一つ一つ解説しつつ、日常で使えるワードやフレーズを学んで行きましょう。
Senator, if I may. I may well not be an expert, but you know who was the expert? Your dad. Howard Stark.
(議員、宜しいでしょうか。確かに、私はエキスパートではないかも知れないが、では誰がエキスパートだったかって?君の父上さ。ハワード・スタークだ)
分かり易く、使いやすい言い回しが”If I may”。学校でも習いますし、英検経験者なら絶対知っている”May I come in?”のMayです。”May I come in?”は”(部屋に)お邪魔しても宜しいでしょうか”という意味ですが、“If I may”は”自分が何か発言する、何かする前に、宜しいでしょうかと前置きする”際に使います。
例えば、会議中に誰かがおかしな発言をして遮る時、またはシーンとしてしまっていざ発言をする時に”If I may”と言ってから、話すと良いです。マナーという訳ではありませんが、急に話し出すのが憚られたりワンクッション置きたい時に便利です。
次、初級者ならハテナと思ったかも知れない”May well not”。May not(~ではないかも)との違いは?特にありません。”May well not”は、ニュアンスとして“より確証的なMay”と言えば良いでしょうか。例えば!
It may not rain today.
(今日は雨振らないかも)
It may well not rain today.
(今日は多分雨振らないよ)
どちらも不確定ですが、後者の方が確証は高そうですよね。根拠は勘なのか、天気予報なのかどうでも良いのですが前者は50-50、後者は”振らないに一票”という温度感です。
Really a father to us all, and to the military-industrial age. Let’s just be clear, he was no flower child. He was a lion. We all know why we’re here.
(まさに我々、そして軍事産業時代の父なる存在だ。ハッキリさせておくが、彼は武器の撤廃と平和を愛した男ではなかった。彼は牙を向く獅子だ。今日、皆さんがここに集まった理由は良くご存知のはずです。)
“Let’s just be clear”は、以前も紹介した汎用性のあるフレーズです。クリア、は日本語でも馴染みがあるし何となく言いたい事は分かりますよね(明確にする、ハッキリさせる)。他の例や詳しい解説は、ブラピのパイキー英語に関する記事へ。
Flower childはそのまま”フラワーチャイルド”という固有名詞で、ベトナム戦争を背景に愛と平和を掲げた60年台のヒッピーたちを指します。身体を花や花柄で着飾った事から、そう名付けられました。
ここでは、ハワード・スタークはそうした”戦争反対の平和主義者”ではなかったとハマーは言っています。
In the last six months, Anthony Stark has created a sword with untold possibilities. And yet, he insists it’s a shield.
(この半年で、アンソニー・スタークは未知なる可能性を秘めた剣を創り上げた。しかし、彼は盾だと言い張る。)
初級者に知っておいて頂きたいのが、“In the last~”という表現。ちなみに、これは”In the past~”という表現にも置き換えられますが、意味は”過去~の間に”。”~”にはお察しの通り、時間が入ります。数分、数時間、数年、何でも良いです。
In the last 10mins, I won a lottery and a prize draw on Amazon. I can’t believe this.
(この10分の間で、ロトとアマゾンでやってた景品くじにも当たったんだよ。信じられない。)
“Untold possibilities”は読んで字の如くですが、Unknown(Un+known=知られていない/未知の)ではなくUntold(Un+told=語られていない)となっている理由は”トニーは分かっているが、世間に好評していない”という事を示唆する為でしょう。”未知の可能性”には間違いありませんが、意味合いとしては教えてもらっていないから未知だ、という事になります。
Insistは”主張する、言い張る”という意味ですが、必ずしも強情っぱりに使うワードではありません。
If you like that book so much, you can have it! Oh, I insist!
(そんなにその本がお好きなら差し上げますよ!いえ、是非!)
出典:”Beauty and the Beast(1991) ©Walt Disney Pictures”
この様に話題の内容や相手のトーンによって、こんな使い方もできます。考えてみれば、日本人が言う“是非”や”遠慮なくどうぞ”って、言い換えるとオファーしている人間として”こちらも引き下がりませんよ”的なニュアンスありますよね。言い張る、しつこく食い下がる場合も”遠慮なく是非”という意思を伝える場合も、Insistは使える単語です。
He asks us to trust him as we cower behind it. I wish I were comforted, Anthony, I really do. I’d love to leave my door unlocked when I leave the house, but this ain’t Canada.
(そして怯える我々に、信頼せよと言い聞かせるだけ。アンソニー、それで安心できるものならどんなに良いかと思うよ、本当に。出掛ける時に玄関に鍵をかけずに済むなら良いけど、ここはカナダじゃないんだ。)
Cowerは辞書で調べればそれまでですが、ちょっと注意!Cowardは”臆病者”や”腰抜け”を意味しますが、動詞であるCowerの綴りはaではなくeである事は忘れないでください。
注目すべきは、I wish I were~の部分。Wishはご存知、”願い”でI wish I wereは”私が~だったら良いのに”という意味ですが、ちょっと待て。
I wish I wasではなくて、wereなのは何で?
You wereとI was・・・そう習ったはずなんだけど。アメリカのロックバンド、パール・ジャムの曲、Wishlistの歌詞にもI wish I wasとありますし。どちらでも良いのでは。
残念ながらI wish I wereが正解で、wasは間違い。つまりはネイティブでも結構間違えやすいケースだという事です。ただ、I wish I wasも厳密には間違いでも、かなり浸透してきているので、これはこれで常用ではないだけで間違いではないという認識も広まりつつあります。個人的には、誰にも文句を付けられないwereを使う事をお勧めしますが。
堅苦しい理由としては,”wish”なのでまだ起こっていない”仮定”の話をしているので仮定法として扱うからになります。
I’d love toも良く聞く表現です。何かに繋げなくても、次の様にI’d love toだけで口語文になります。
Would you like to go shopping tomorrow?
(明日買い物でもどう?)
I’d love to!
(ええ、もちろん!)
出典:”Mean Girls(2004) ©Paramount Pictures”
OKやSureなどと違って、”楽しみ!”という感情が伝わりますね。Loveですから(笑)。Sureも”もちろん”ですが、Love toだと、相手への提案やオファーにより強い賛成や感謝の意を表す事ができます。
つまり、ここでハマーはトニーが主張する様にアイアンマンが人々の安全を保証してくれるから”家のドアも安心してアッパラパーに開けて出かけられたら、何と良い事か”と皮肉っぽさも込めて言い返しているのです。
You know, we live in a world of grave threats, threats that Mr Stark will not always be able to foresee. Thank you. God bless Iron Man. God bless America.
(良いか、我々は絶大な脅威に晒された世界を生きている。ミスター・スタークが常に予見できる脅威ばかりではない世界に。ご清聴有難うございます。アイアンマンに、そしてアメリカの神のご加護を。)
Threatはこの場合、”脅威”と考えるのが適切ですが日常会話でも使えるワードです。単なる、”脅し”という意味もあるのです。
She threatened me that she’ll dump me if I don’t get her a bag from Coach.
(コーチのバッグを買ってやらないと、別れてやるって彼女に脅されちゃってさ)
ここでは動詞のThreatenとして使っています。つまり”脅す”という行為ですね。例えば、”それは脅しだ”ならThat’s a threat、”彼を脅す”ならWe will threaten himとなります。
最後に便利なのがFore。単体で使う事は頻繁にはありませんが、意味は”事前”、”前”、”手前”など。単語と組み合わせて使われる事が多く、Forehead(おでこ)、Forecast(予報)、Forethought(事前の検討、先見)などなど。
これもその例の一つでForeseeは”予見する”や”予知する”を意味します。Seeはご存知の通り、”見る”事ですがForeを加える事で”前の”や”予め”という意味が加わります。
短いスピーチの中にも、色々使えそうなワードやフレーズが散りばめられている事にお気づき頂けましたでしょうか?皆さんの日常英語スキル上達に少しでも役立てていれば幸いです。
では、引き続きFilm Talesを宜しくお願い致します!
アイアンマン2を観たい人は
前作程お勧めではありませんが、やっぱりアイアンマン好きなら観ていて楽しいっちゃ楽しいアイアンマン2!ウォー・マシン誕生の映画でもありますしね、アイアンマンのアクションも相変わらず派手で見どころ。
エンドゲームの公開も迫りますし、ここまでのマーベル映画マラソンなんかも良いと思います!てか、私はやります(笑)。