”マンツーマン”の使い方、間違えてない?

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マンツーマンは英語じゃない?

最近、近所の英会話教室が窓にデカデカとMan to man lessonって書いてて、あちゃーと思ったのがきっかけでした。そんな英会話教室で本当にお金とって良いの?と思ったり。
良くおかしな英語は日本でみかけるけど、英会話教室がやらかしちゃダメでしょ!

実は、日本では”個人レッスン”や、広義には”1対1″を意味するマンツーマンですが、ネイティブからすると全然違う意味になっちゃいます。
なので、英語ではあるんだけど使い方間違ってるよと言う。

Man to manは通常、“男同士、腹を割って話す”や”素直に語り合う”という意味で使われます。
稀に、単に”男同士で”という意味やHand on hand(喧嘩などの文脈でいうタイマン)として使われる事がありますが、日本人が良く言うマンツーマンとは違いますね。


男同士、腹割って話そうぜ

出典:”Kingsman: The Secret Service(2014) ©20th Century Fox”

ワンダー 君は太陽から学ぶ英語

トリーチャーコリンズ症候群によって顔が変形してしまっている10歳のオーガスト・プルマンは、入退院を繰り返す生活を送っていたが、容態が安定した為、初めて学校に通う事になる。


明るく、頑張りたい気分になれる映画ワンダー 君は太陽

出典:”Wonder(2017) ©Lions Gate Entertainment Corp.”

27回もの手術で”普通”とは違う顔を、同級生たちは囃し立ててからかってしまう。
いじめられてふさぎ込んでしまうオギーだが、家族や仲間の支えも合って少しずつクラスメートと打ち解けていくコメディ・ドラマ映画、ワンダー 君は太陽。

そんな心温まるストーリーのワンシーンからこんな台詞を抜き出してみましょう。

オギーを学校に送り届ける一家が代わる代わるオギーに声をかけて、最後にお父さん(オーウェン・ウィルソン)オギーに語りかけるシーン。

We’re gonna have a little man-to-man.

Now I gotta stop here, because past this point is a No-Dad zone and you don’t wanna walk up with your parents because it’s not cool.


お母さん(ジュリア・ロバーツ)とお姉さん(イザベラ・ヴィドヴィック)がオギーを勇気づけた後、お父さんがオギーの肩に手をかけて、二人にこう言います。

We’re gonna have a little man-to-man.
(ちょっと”男同士”で、ね)

言い回し的にしっくりこないでしょうか、意訳に注目頂くと日本語も少し曖昧ですよね。
そうなんです、Man-to-manだけだと厳密にはただの”男同士で”という意味になりますので、
上記の例だと、

ちょっと”男同士”で、(話す)ね

という口語的な意図を汲み取った意味になります。
冒頭で話しづらい事などを話す時に使うと言いましたが、この例の様に水入らずで話すという時にも使えます。違う例もお見せしますね。

I’m telling you, man-to-man, you should break up with her.
(いいか、これはマジで言ってるんだが、彼女とは別れた方がお前の為だ)


Now I gotta stop here, because past this point is a No-Dad zone and you don’t wanna walk up with your parents because it’s not cool.
(さて、こっから先は父ちゃん進入禁止ゾーンだし学校に親と来るなんてイケてないから、俺はここまでだ)

Past this pointは”これより先は”という意味です。
PastはPassedと混同しかねない、トリッキーな単語になりますので注意!ちょっと脱線するけどPastはとても汎用性が高い単語で、名詞にも形容詞にも前置詞にもなるという厄介っちゃ厄介なやつ。
でPassの過去形Passedとどう区別するかと言うと、“Passした”と言いたいのかどうかがシンプルな解決策か思います。

I passed my bag through the X-ray machine.
(カバンをX線検査装置に通した)


カバンがX線検査機の中をPassする

出典:”Spider-Man: Homecoming(2017) ©Marvel Studios”

これは、カバンを装置の中にPassするのでPastではなく、Passedが正しい。
判断が難しい例としては、こんなのだろうか。

He has changed greatly over the past year.
(彼はこの一年で大きく変わった)

過去一年で、を表すためにPast yearを使っていますが一年が”過ぎる”、つまりPassの活用が適切なんじゃないか?と思うのも分かりますが、一先ず“過去”を表す場合はPastとすれば間違える事はないはず。
時間が”過ぎる”という場合はTime passesになりますがね。
では、こちらは如何でしょうか

He rushed past her without a word.
(彼は一言も言わず彼女を通り過ぎて先を急いだ)


何も言わずDrive past

出典:”RoboCop(2014) ©Columbia Pictures”

え、通り過ぎたって事は”Passした”んだよね、何でだ!
違う例を比較して見てみましょう。

A car passed a convenience store at 80km per hour.
(車が時速80kmでコンビニを通り過ぎた)

A car drove past a convenience store at 80km per hour.
(車が時速80kmでコンビニの前を走り過ぎた)

基本的に表現の違いであり、どちらも言っている事は変わりませんね。
でもPassedとPastはどう使い分けているのかというと、Droveがあるかどうかに見えますね。
あながち間違いではなくて、動詞とセットならPastで普通にPass単体で過去形として使うならPassedになるんです。
先程の例も、Rushed past、つまりRushという行動とセットにしているからPastとすれば合点が行くでしょうか。

マンツーマン、からだいぶ脱線してしまいましたが如何だったでしょうか。
知らなかったけど少しは分かった!と言う新たな発見があった方が一人でもいらっしゃれば嬉しいです。

 ワンダー 君は太陽を観たい人は

ジュリア・ロバーツやオーウェン・ウィルソンら豪華キャスト陣による笑いあり、涙ありな本作ですが公開間もない為、配信予定のサービスはなく、手許で観られるのはもう少し先になりそうです。

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