ブラックパンサーのスピーチから学ぶ英語

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世界的ヒットとなった異色のヒーロー映画

2018年に世界的な大ヒット話題作となったブラックパンサー。今やグローバルで高い知名度を誇るマーベル映画だけに、メインがオール黒人キャストだった事もあって多くの人々が足繁く映画館に足を運び、最近もアカデミーにノミネートされるとかされないとか何かと話題です。


亡き父から受け継いだ王座とスーツを纏い、ワカンダ王国を守るティ・チャラ

ブラックパンサー、初登場は2016年のシビル・ウォー/キャプテン・アメリカでした。カメオ程度かと思いきや、俊敏なアクションでファンをすっかり魅了してしまいコミックスファンでない人にとっても一躍有名に。2018年のスタンドアローン映画はシビル・ウォー以降に起こるブラックパンサーの祖国、ワカンダ王国でのストーリーです。

現世を圧倒する高文明とテクノロジーを誇るワカンダ王国は技術の悪用を防ぐ為、世俗との繋がりを絶ち、何世代にも亘って表面上は貧しい農業国を装っていた。
そんなワカンダ王国とその秘密を守るのが王国の戦士、ブラックパンサー。
ワカンダ王国の技術的な発展に大きく寄与した金剛不壊の金属、ヴィブラニウムで作られたブラックパンサーのスーツを纏う事を許されるのは国王のみ。


ブラックパンサーは他のマーベルヒーローには無い威厳と風格が本当にクール

シビル・ウォーのテロ事件で没したティ・チャカ国王の一人息子、ティ・チャラはブラックパンサーの座を継ぐべく、ワカンダ王国に戻って即位の儀式を執り行う運びとなった。
滞りなく即位した様に思えたが、ワカンダ王国に突如現れた謎の青年が現れる。
彼は、王国を追放されたティ・チャラの叔父の子でとある過去の一件でワカンダ王国、特に王族に恨みを抱いていた・・・。

さて、そんなブラックパンサーが映画の最後で下した決断が、世界にワカンダの真実を公表して技術やナレッジを共有し、より良い世界を築くこと。
この重大発表を、ティ・チャラが国際連合本部でスピーチするシーンがありますが、この記事ではその内容を通して英語を学んでみましょう。

ブラックパンサーの演説から学ぶ英語

早速こちらが、演説の内容。取り敢えず良く分からなくても、読むだけ読んでみましょう!

Wakanda will no longer watch from the shadows. We can not. We must not. We will work to be an example of how we, as brothers and sisters on this earth, should treat each other.

Now, more than ever, the illusions of division threaten our very existence. We all know the truth: more connects us than separates us.

But in times of crisis the wise build bridges, while the foolish build barriers. We must find a way to look after one another, as if we were one single tribe.


な、長い・・・分からん!って感じだったでしょうか、単語単位では分かるけど文章としては理解できないのってあるあるですよね。
初心者だとよく分からない表現もあるのでゆっくり見ていきましょう。

Wakanda will no longer watch from the shadows. We can not. We must not.
(ワカンダ王国はこれ以上、陰から傍観する事はしない。そんな事、できない。そんな事、すべきではない。)

よく使う表現として、ここでも登場しているNo longerですが、時間や期間的な面で”これ以上は”に相当する表現です。
イメージとしてはLong(長い)の比較形となる、Longerが”これよりも長い時間”を指していると考えてください。

I will no longer wait for you.
(これ以上、あなたを待つ事はしない)

と言った様な使い方ですね。ここで注意頂きたいのが、(ぶっちゃけ、細かいのですが)敢えて”待つ事はしない”と書いた事。”待つ事はできない”と書くとすると、I can no longer wait for youになります。
can、つまりは可否、”できる”という実現性を表すので”できる”、”できない”という表現になるのですね。

We will work to be an example of how we, as brothers and sisters on this earth, should treat each other.
(我々は、この地球を分かち合う兄弟として、互いとどの様に接するべきか模範となる様に努めよう)


意を決して国際連合本部に乗り込むティ・チャラ一行

Now, more than ever, the illusions of division threaten our very existence. We all know the truth: more connects us than separates us.
(今、人々は皆違うという錯覚が、これまでに無く我々の存在そのものを脅かしている。しかし世界の誰もが本当の事を知っているはずだ。我々には、違いよりも共通点の方が多い事を。)

意訳は入りますが、意味合いは上記の通り。単語毎の意味は辞書で調べて頂くにしても、先ず疑問に感じたであろうVeryの使い方について。
Veryって皆さん”とても”や”すごく”という意味としてはご存知かと存じますが、実は次の様な使い方もあるんです。

Twenty years ago, I went to this very school.

Very school、すごく・・・学校?あ、すごい学校だったんだよって事か!ではなくて笑
イメージから説明すると、Veryってご認識の通り強調をする単語ですよね。その延長線上の使い方と言えば伝わるでしょうか。
”まさに”という意味で、先程の例だと”まさにこの学校そのもの”を指すVeryの使い方なのです。


まぁ言いたい事は分かる様な分からない様な・・・?ちょっと感覚的だよね

つまり、Twenty years ago, I went to this school(私は20年前、この学校に通っていた)でもあまり意味は変わらないのです。
敢えて、”まさにここ”と主張したい時にVeryをSchoolという名詞の前に置いて使っているのです。
同じ様な例を挙げてみますね。

From this very moment, I’m going to stop smoking.
(今この瞬間から、禁煙します)

普通に、From now on, I’m going to stop smokingでも良いのですが、敢えて”今この瞬間から”を強調しているのがVeryの役割です。This very place, this very momentなどVeryの後に名詞が続いた場合は”まさにこの”という意味だと覚えておくと便利です。

もう一つは、More than everの部分。訳文の通り、”これまで以上に”や”これまでに無く”という意味ですね。
More thanは”~以上に”という意味で、Than(発音も綴りも似ているけどThenと混同しない様に注意)の後に比較対象が入ってくるのですが、この場合はEverですね。
日本語で言うなら”いつ何時も”や”常に”を指しますのでAlwaysに近いのですが、EverとAlwaysはあまり互換性がないので注意!つまり、こんな使い方はNGです。

Ever look both ways when crossing the road.
(道を渡る時は必ず左右を確認してからにしましょう)


危ないからAlways look both ways before crossing the road!

この場合は、Alwaysを使わないとヘンです。Everは基本的に、”これまで”など過去からこれまでを表現する時に使う事が基本ですので、感覚的に掴むまでは一つの判断基準になると思います。

More connects us than separates usは割と分かり易いのではないでしょうか。
“AよりもB”という言い回しの代表例で、More A than Bそのものですので、ここでティ・チャラが言いたいのは”人には違いや相違点よりも共通点が多いんだ”という事ですね。

But in times of crisis the wise build bridges, while the foolish build barriers. We must find a way to look after one another, as if we were one single tribe.
(しかし危機に直面した時、愚か者が壁を建てている間に賢人は橋を造る。我々は一つの部族さながら、互いを支え合う方法を見出す必要があるのだ。)

汎用性のある言い回しとしてここでも使われているIn times ofに注目。
あまり難しい言い回しではなく”~の時”や”~の際”という意味なので、いくつか例を挙げましょう。

In times of trouble, I really need someone to talk to.
(辛い事が多い時は、話し相手が本当に必要なんだ)


english with movies
辛い時って皆あるよねぇ・・・

もしかして、Timeではなくて複数形のTimesになっている事が腑に落ちていないのではないでしょうか。
実は、本来複数形が存在しないMoneyなどもMoneysと書く事があるのですが、どういう時かと言うと・・・
通貨の”種類”など明確に数える事ができるお金については、Moneysと言う事です。

この場合も、”辛かった事”を表すTimeはあの時とあの時と・・・と言った具合で数えられますよね。
だからIn times ofと言えるのです。

Wiseは”賢い”という意味ですが、意外と知られていないFool、”愚か”という単語。
元々はラテン語のFollis、”頭空っぽ”を語源としていて以前は狂人や知的障害を持つ道化などをFoolと呼んでおりましたが、一般的には”馬鹿者”や”愚か者”を意味します。

そして、Look afterは”面倒を見る”という事を指しますが注意しておくと”面倒を見る”と違って、
Look afterだけでは文章として完成していない事。
必ず対象となる人や物を含める必要があるので、例えば”犬の面倒を見る”だとLook after the dogになります。

如何だったでしょうか、ちょっとしたトリビアも散りばめたので楽しく学んで頂けましたか?
実際の演説シーン含め、ブラックパンサーが気になる方は是非映画本編もご鑑賞ください!

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