『エアフォース・ワン』はスリル映画好きにお勧め!ネタバレありでレビュー

エアフォース・ワン


監督:ウルフギャング・ピーターセン
出演:ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、グレン・クローズ 他
言語:英語
リリース年:1997
評価★★★★★★★☆☆☆

“Air Force One(1997) ©Columbia Pictures”『参照:https://www.imdb.com


~”ハイペースでグリッピングなサスペンスが止まらない”~

~”とめどなく襲い来る絶対絶命をくぐり抜けるスリル”~


 もくじ


 あらすじ


ソ連復活を目論む米露の合同特殊部隊は、カザフスタンの指導者を自称する独裁者ラデク将軍を捕獲
3週間後に米大統領マーシャルはモスクワで米国はテロに屈しない事を宣言
同じ頃、大統領専用航空機”エアフォース・ワン”にロシアの取材テレビクルーが搭乗
マーシャルも搭乗し、米国を目指してドイツ上空を航行中に大統領SPギブスの裏切りでテレビクルーに扮していたロシアのテロリストにハイジャックされる
テロリストらは米国にラデク将軍の釈放を求め、それまで機内の人質を30分毎に殺すと脅迫
エアフォース・ワンと大統領、そして人質たちの命運は・・・


 レビュー

突如ハイジャックされた快適なはずの空の旅。

幸いにもカオスは全てスクリーンの向こうで起こり、我々はタービュレンス・フリーな映画館や自宅のソファの上。出口無き航空機の中でテロリストに一人で挑むハリソン・フォードを存分に楽しめる『エアフォース・ワン』はシンプルながらも、最後までしっかりグリップしてくれる緊張感が魅力的なアクション映画です。

ジェームズ・マーシャル米大統領が搭乗した大統領専用旅客機、通称”エアフォース・ワン”。世界最新鋭のセキュリティを備えた機内に一人ならず、複数人の過激派が紛れ込み、マシンガンや防弾ベストまで忍び込ませていた。緊急脱出用パラシュートで逃げる事も出来ない高高度に閉じ込められた人々と大統領を始めとするファースト・ファミリー。シーンはエアフォース・ワン機内と、ラデクの釈放とテロリストとの交渉を図る地上の米政府との間をテンポ良く行き来し、飽きさせません。

その要を担うのはジェームズ・マーシャルを演じるハリソン・フォード。飽きが来ないと表現した『エアフォース・ワン』は、矛盾に聞こえるかも知れませんが、シンプルな反面で陳腐で使い古されたストーリーに縋った作品。サプライズな捻りが待ち構えているのでもなく、淡々とドミノ倒しの様に次々と事態が変わって行くに過ぎず、スマートな伏線を最後に回収してくれるタイプではない。セッティングも乱暴に言えばフィクションのスリラーにありがちな”ハイジャック”や”人質”と”政治”が絡むノンオリジナルな内容。

フォードには先天的とも言えるナイスガイな雰囲気が漂い、どこか無条件で信用したくなる、ヒロイズムを纏っています。その特性を実に良く活用した映画で、好都合な事に大統領が名誉勲章を受賞したベトナム戦争の戦線で活躍した元軍人なる設定も、フォードだからこそ何処と無く許しても良い気がする。

シンプルをフィクショナルで幼稚と捉えるか、分かり易くて思考回路を100%稼働させなくてもリラックスしてアクションやスペクタクルを楽しめるメリットと捉えるか。ミステリーや複雑難解で手に汗握る心理戦を期待する様であれば、『エアフォース・ワン』はお勧め出来ませんが、所々で激しいラリーの様に続くアクションでスリルを味わうだけで充分なら一見の価値がある映画です。

エアフォース・ワン
スカイ君
おーす、ココから先はネタバレありだ!ありきたりっちゃありきたりなんだけどな、『エアフォース・ワン』は主要キャストが良い味出してる映画だ。アクションが好きなら結構お勧めだぜ
『エアフォース・ワン』はひたすらスリルと緊張感の嵐

フォードがテロリストと拳を交えるシーンは勿論、テロリストのリーダー、イワン・コルシュノフが米副大統領と電話越しに交渉する様子も実にスリリング。

人質の中にファースト・ファミリーを抱えたコルシュノフが一枚優勢の状態で、打開策を考え続ける副大統領に扮するグレン・クローズも殆ど会議室に米政府の中核メンバーと座して目線を交わすだけですが、表情や眼の光で困惑や恐怖、緊張を演じきっています。交渉時のトーンもシチュエーションに合わせた抑揚が良く利いていて、素晴らしい。

イワン・コルシュノフを演じるゲイリー・オールドマンの冷徹な声色と脅す様に静かな時も怒声を挙げている時も変わらぬ睨め付ける様な眼光は、テロリストのリーダーらしさを醸し出しており、掴みどころの無い恐怖を良く演出しています。


エアフォース・ワン映画ネタバレ
ハリソン・フォードが演じる大統領ジェームズ・マーシャルは正義感溢れる印象

“Air Force One(1997) ©Columbia Pictures”『参照:https://www.imdb.com


アクション映画だけあって、テロリストとマーシャルのコンバットも相応の観どころです。

10秒で30カット活用する様なカオティックなカメラワークではなく、クロースアップで映される事が多いものの、安定したアングルから撮影されていて、観易い。一方で、カオスなアクションが演出する人間離れした派手で息を呑む様な激しいアクションは観られず、ある意味現実的な殴り合いが繰り広げられます。

女性の頭にも躊躇なく風穴を空けるコルシュノフが30分毎に人質を殺して行くと宣言すれば、悠長な事は言っていられない。ファースト・ファミリーの誰かが殺されるのも時間の問題。妻のグレースと娘のアリスは特に強い感情を喚起するキャラクターではないので、殺されても隣の国家安全保障補佐官が脳天を撃ち抜かれる以上の衝撃は無いのですが、そこもフォードがサポート。

自ずと負けて欲しくない『エアフォース・ワン』唯一のヒーローを当たり前の様に演じられるフォードが、命よりも愛している妻子となればやはり死んで欲しく無いと願ってしまうもの。ジェームズ・マーシャルの一部として、『エアフォース・ワン』を無事生き抜いて欲しいと思えますし、マーシャルがコルシュノフに手を付けるまで、二人の身を案じてハラハラする瞬間も多々あって演出としては充分。

然りとてオリジナリティのある演出とは言えない事は既に述べた通りですが、クラシカルなテクニックも依然として効果的です。

異質な空間を舞台に観るアクション映画はもう一段エキサイティング

『ミッション:インポッシブル』(1996年)顔負けのアクションには届かずとも、飛行機内ならではのコンバットが楽しめるのも『エアフォース・ワン』のポイント。

限られたスペースの中を逃げ惑い、隠れ、非日常的な空間である飛行機内はただそれだけで何処と無く胸が高鳴ります。脱出するにも地上数千メートルにも上る場所でテロリスト集団に一人で立ち向かうエキサイトメントがより際立ちます。

バゲージエリア(機内最下層の貨物エリア)で闘っているシーンは特に緊迫感溢れるシチュエーションが魅力的。暗い貨物エリア内で闇を武器にテロリストを奇襲するマーシャル。シューティグ・ゲームで開けたフィールドよりも、空港や航空機内の様に特殊なステージが好きなら、『エアフォース・ワン』のシナリオは嫌いではないはずです。


エアフォース・ワン映画ネタバレ
電話越しの交渉に留まらず、緊迫するシーンが多くて目が離せない

“Air Force One(1997) ©Columbia Pictures”『参照:https://www.imdb.com

その一方で、『エアフォース・ワン』で是とされる機体の機能や仕組には疑問を隠せません。バゲージエリアから市販の携帯電話で電話を架けられるのも信じ難いですし、奥にある脱出ポッドも実際のエアフォース・ワンに搭載されているのか真偽は不明です。そうした劇中のファンクショナルな点は見逃したとしても、気になる部分は少なくありません。

特殊効果や粗のある演出も見られる『エアフォース・ワン』

バゲージエリアや携帯電話の機能に関しては、エアフォース・ワンのテイル部分にパラシュートとハッチが搭載されているのかも含めて次々と細かな疑問が波打ちますが、映像とパフォーマンス面でも気になるポイントが。

飽く迄もフィクショナルなブロックバスター。楽しめるスリルやアクションが落胆するもので無ければ良いとは思いますが、少々杜撰で気が散る視覚効果はマイナスです。

否、エフェクティブな視覚効果も多数あってスリルを煽るシーンも少なくありません。しかし、キーとなる人質の脱出シーンでは1万メートル近い高度を高速で移動している航空機内にも関わらず、誰一人としてハッチの下を覗く人質はおらず、リアリティに欠けました。実際にそんな状況に置かれたら、恐らく一旦はこれから飛び降りる先を見やるのではないでしょうか。

クライマックスでマーシャルがキャプテン・アメリカも開いた口が塞がらない力で、大爆発をバックにハッチにしがみついたシーンも少々滑稽。背景の爆発も視覚的にリアリティに欠けて、スクリーン上の状況とは裏腹に緊迫感は程々に感じる程度。


エアフォース・ワン映画ネタバレ
妻と娘を人質に捕られたマーシャルの決断は・・・

“Air Force One(1997) ©Columbia Pictures”『参照:https://www.imdb.com


但し著しいデジタル技術に恵まれた現代とは違い、1997年に公開された事を考えると、重箱の隅を突く様なもの。陳腐に感じる演出や、現実味の薄いアクションも『エアフォース・ワン』の味であるとも言えます。ハリソン・フォードのワンマンショーとの見方も出来ますが、結果的に彼が扮するジェームズ・マーシャルが充分に魅力的だったので気にならず。実力無きワンマンならともかく、しっかりデリバリー出来るワンマンなら文句はありません。

しかしストーリー上、気になったのはラデク将軍の扱い方。将軍の解放が米国とテロリストの駆け引きをドライブする一方で、解放された場合に起こる事がどの程度重大なのかが漠然としていて、イメージし辛い。結果、駆け引きの行方と人質の命を天秤にかけると、取り敢えず解放してしまっても良いのではないかとさえ思えてしまいます。副大統領を始めとする米政府側の焦燥感には共鳴出来なかった点は残念でした。

もう一歩改善出来そうな点は幾つかありましたが、総じてテロリストとマーシャルのスリル溢れる雲上の闘いをメインとして鑑賞すれば、充分に楽しめる映画。30分毎に人質が死んで行く中で、テロリストに見付からぬ様に乗客を救わねばならないシチュエーションで、燃料が切れたり、パラシュートによる脱出を思い付くも怪しまれずに飛行高度を一定値まで下げねばならないなど、次々と心拍数を上げる出来事が重なり、エンターテインメントとしては文句無く観られます。


 この映画を観られるサイト

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 まとめ

『エアフォース・ワン』は是非カップルとでも友達とでもお勧めしたい一本。

一人で観たら、このハラハラは誰かと一緒に共有したいと思うはずです。ポップコーンとコーラを片手に座ってじっくり楽しみたいローラーコースターの様に始終スリリングな映画なので、ご存知ないアクション映画好きの皆様には一押しです。

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