『LOGAN/ローガン』は圧巻のアクションが光るマーベル映画、ラストの十字架の意味を知ったら涙せずにいられない

LOGAN/ローガン


監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ボイド・ホルブルック、スティーヴン・マーチャント、リチャード・E・グラント、ダフネ・キーン 他
言語:英語
リリース年:2017
評価★★★★★★★★☆☆



~”ウルヴァリン10年の歴史の幕引きに相応しい『LOGAN/ローガン』は、今までで最もハードで最も悲しいX-メン映画”~
~”アクションは殆どCGiや編集がなく、シームレスでパーフェクトな舞踏を観ている様な出来”~

 もくじ


 あらすじ


遺伝子の突然変異による超人的能力を持つ『ミュータント』
西暦2029年、25年間ミュータントが誕生していない世界で彼らは絶滅の危機にあった
異常な自然治癒能力を持つ男、ローガンはひっそりと暮らす日々を送っていた
身体も衰えてミュータントとして闘う事を辞め、リムジン運転手として過ごしていたある日
彼は自分と同等の能力を持つ少女、ローラと出会う
ローラはある組織によってローガンの遺伝子から生まれたミュータントだった
ローラは組織の『ウェポンX計画』の失敗作として処分されるべく、身を追われる
弱りきったローガンは、ローラを救うべく最後の闘いに挑むのだった


 レビュー

舞台は荒廃しきった、砂埃が舞うウェスタンな世界。2029年とは言え、文明が発展した様には見えない、ドライでザラザラとした感触を肌に感じそうな印象を受けます。マッド・マックスかと思ったほど。

今までのX-メン映画には無かったアンビエンス。

ウルヴァリンことローガンはリムジンで寝ている間に、チンピラらしき連中にタイヤを奪われそうになる所でその姿を見せます。何とか諭そうとするも、拳銃で撃たれるローガンですが勿論その程度で彼は死なない。

容赦なく拳から突出したアダマンチウム製の爪で連中を切り刻むローガン。オープニングから『LOGAN/ローガン』の血生臭さが、これでもかと主張します。無慈悲にローガンの爪が悪人をバッサバッサ切り崩して行く事が目に見えますね。唖然としつつも、残りの2時間5分が楽しみ。。これまでのキッズ・フレンドリーなX-メン映画では有り得なかったトーンに期待が高まります。

しかしウルヴァリンとしてのアイデンティティを捨てて前線から引いたローガンは暫く、大人しくリムジンの運転手を続けます。


LOGAN/ローガン
容赦ない脳天への突きも痛々しいが、実写版ウルヴァリンに長らく求めていたアクションでもあります

出典:”Logan(2017) ©20th Century Fox”

そんな中、彼にしつこく接触を試みるある女性、ガブリエラ・ロペスが現れます。彼女はノースダコタ州に自分と11歳の少女、ローラを送り届ける様にローガンに依頼し、彼は渋々これを引き受けるも改めて迎えに行くとガブリエラは何者かに殺されていました。ローラに至っては何処かへ行方知らずに。しかもガブリエラと関わった事で、ローラを追う捜索隊”リーヴァース”に目を付けられるローガン

そしてリーヴァースのリーダー、ピアースがローガンの住処を襲撃しますが、ここからも『LOGAN/ローガン』最大の見どころでもあるアクション・シークエンスが待ち構えています。ローガンの車に忍び込んでいたローラが『X-23』として繰り広げる鮮烈な殺戮。ローガンとは違い、爪先にまでアダマンチウムの爪を仕込まれていたローラは、子供ながらの身軽さ活かしたファイティングスタイルで重武装した大男をも圧倒。ここでも敵がグッサグサとケバブ扱いされ、爽快にバタバタと倒されていきます。

ローラを演じるダフネ・キーンも当時、任された役柄とほぼ同年齢でしたが物凄い気迫とパフォーマンス。


LOGAN/ローガン
ローガンと同じ能力を持つ少女ローラが惜しみなく魅せる圧巻のコンバット・シーン

出典:”Logan(2017) ©20th Century Fox”

舞台も時代もこれまでのX-メン映画とは大きく違いますが、カメラワークも今回のハードなアクションをクローズアップで撮る為に低めのアングルからになっており、ジェイソン・ボーン・シリーズの様でした。チェイス・シーンもありますが、これも激しめで特に大スクリーンで観た時はとても楽しめました

スカイ君
ここからはネタバレありでレビューして行くぞ!まだ観ていないのに、って方はU-NEXTで体験登録すれば無料で観られるぜ!ガチガチのヒーロー映画じゃなく、アクション好きなら確実に楽しめる映画だ
マンゴールド監督のアクションへのユニークなアプローチ

特撮技術は勿論、CGiもたっぷり使われるのがアメコミ映画。最近では非常にリアルで実物と見分けがつかない程です。俳優の若い頃の顔をCGiで創り出して別の俳優にハメ込んで再現する技術などあまりに自然で驚きます。

多くのアクション・シーンはそんなCGiの宝庫。ですが、LOGAN/ローガンでは殆どがスタントと俳優たちの演技で、生々しさが一層凄味を増している印象。CGiや編集の”跡”を誤魔化す為の目が回る様なカメラワークや酔いそうな連続カットは少なく、アクションを間近でしっかりと捉えています


LOGAN/ローガン映画
しっかりウルヴァリンらしい闘い方も再現している『LOGAN/ローガン』

出典:”Logan(2017) ©20th Century Fox”

『LOGAN/ローガン』のアクション・シーンに対する焦点は、如何に派手に見せるかと言うよりもキャラクターのファイティング・スタイルとアクションの”デザイン”だと強く感じました。目的を持ったアクション・シーン、と言うべきでしょうか。

R指定のウルヴァリン映画にする意義、それがしっかりあるアクションが非常に良かったです。両爪を前に突き出して相手に飛びかかる動きも、これぞウルヴァリンと言わせるもの。先述したローラの軽やかな動きと言い、キャラクター毎に考えられている感じがあり、ご覧の通りグログロですが一種の芸術とも言える側面がある事は否めません。『LOGAN/ローガン』がどこからとも無く、自然に生まれた物語の様に感じるのはこうした素晴らしい工夫があっての事だと強く思いました。

ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンのラストを飾る作品として、これまでのX-メン映画の中でも最もクォリティが高いバトル・シーンを再現する方向で行くか、今までにないゴアで本当にウルヴァリンらしいアクションにチャレンジするか。選択肢はいくつかあったと思いますが、後者で本当に良かったです。

スカイ君
マンゴールド監督曰く、多くのヒーロー映画にあるホログラムだとか近未来的でファンシーな演出は変に気を散らせるだけだろうから辞めたんだとさ!
モカ君
アイアンマンとかまさにそうだよね。ボクはギミックな感じがすごく好きだから、ワクワクするけど!
スカイ君
ってかモカ、お前この映画大丈夫だったのか?結構容赦なく人が痛々しく死んでいくぞ・・・・
モカ君
あ、怖いところは目を瞑ってたよ!最後は薄目してた!
スカイ君
アクションが見どころの一つなのに、意味ねぇじゃん・・・
マーベル映画にありがちな予告編ではなく、本当に”映画”を観られるLOGAN/ローガン

『LOGAN/ローガン』を観ていると、登場するキャラクターに強くスポットライトが当たっている事に気付きます。これも登場人物が多く、どちらかと言えばCGiベースなアクションにフォーカスしていた、これまでのX-メン映画とは全く違うポイント。衰えたローガンの能力と身体への負荷、そして彼が望む余生の過ごし方、あのチャールズ・エグゼビアもアルツハイマーを患い弱りきっている様子など内面的なディテールが際立ちます

チャールズとローガンの関係も、まるで長い結婚生活を経た老夫婦みたいでした。

ドラマなエッセンスもあるんですよね。今まではローガンもチャールズも多く居るX-メンキャラの中でもメインでしたが、『LOGAN/ローガン』ではX-メンとして、ヒーローとしてではなくて”人”として初めて観る事が出来ました。これまでのX-メンシリーズでは、主にミュータント対人間の諍いをテーマにしていた事もあって両者は全く異なる種として描かれましたが、本作はそうではない。

スカイ君
そうは言っても”ヒーロー”はテーマの一つだったと思うぜ、Xーメンらしくな
モカ君
えっ、そうなの?
スカイ君
ローラとチャールズがテレビ観てるシーンあっただろ?観てるのはジョージ・スティーヴンス監督の西部劇”シェーン”だ。アラン・ラッド演じるシェーンはミステリアスな過去を持ったガンファイターの話で、『LOGAN/ローガン』のウェスタンなムードと言い、ローガン自身の謎めいた生い立ちと言い、似てるだろ?

LOGAN/ローガン
チャールズとローガンはどこか終焉を感じさせる一方で、これまで二人が培ってきた深い想いも感じさせる何とも言えない関係

出典:”Logan(2017) ©20th Century Fox”

ローガンもチャールズも、これまでの作品のどこかで死を迎えていたら”大好きでカッコいい正義の味方”が死んだショックが波打つと思いますが、『LOGAN/ローガン』ではそれ以上の痛みが襲います。知り合いや友人が亡くなった様な喪失感に近いです。ローガンをヒーローとして観ているのではなくて、映画の主軸を成す一人の人物として捉えられるから。

シリーズ映画、殊にマーベル映画にありがちな続編や別のヒーロー映画に繋がるシーンや明らかなセットアップもなく、純粋に一本の映画として心から楽しめる作品でした。

壊れかけた男が最後に一度だけ、娘の為にヒーローになる話。

途中からロードトリップに出て、ストーリーが少し分散している感も正直ありましたが(道中知り合ったフレンドリーな一家との絡みも若干の無理やり感あり)、ヒュー・ジャックマンの圧巻のパフォーマンスが気が散る事を一切許さず、元通りの”人間味溢れる素晴らしいアクション映画”にしてくれます。やはり、この男以外にウルヴァリンは考えられません。

それだけあって、ローガンのラストは涙腺を緩ませずには居られませんでした。彼が死んでしまう事は勿論、ローラが墓標の十字架を”X”に置き換えるシーンは、ある意味ショック。お察しの通り、一つは『LOGAN/ローガン』が”X-メン映画だから”ですが、私にはどちらかと言うとローラの”想い”が見えました。


LOGAN/ローガン
このシーンは思い出すだけでも、涙が込み上げる名シーン

出典:”Logan(2017) ©20th Century Fox”

十字架はキリスト、つまり人間が死後も安らかに神のもとで過ごせる様にと願う想いの表れで“ヒト”を表すシンボルですが、ローガンは神や人の為に死んだのではありません。彼の墓を訪れる者が居るとしたら、それは人間ではなくてきっとミュータント。カナダの国境を越えて次世代のミュータントとしてその遺伝子を紡いでいく子供たちの希望となるべく死んだローガンに、心ばかりの敬意を表してローラは”X”に組み替えたのです。

と気付いた瞬間にグッと来ました。お疲れ様、ローガン


 この映画を観られるサイト

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 まとめ

これまでのX-メン映画だけでなく、ヒーロー映画の概念をひっくり返す様な映画だった『LOGAN/ローガン』。

ミュータントをヒーローよりも人として魅せてくれる良さと、激しくゴアなウルヴァリンに求めて来たアクションも堪能できる作品。マーベル映画に詳しくなくても、アクション好きなら何度でもお勧めしたい『LOGAN/ローガン』でした。

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