シュガー・ラッシュ:オンラインは楽しいけど、前作とベクトルが違って違和感を感じるかも

 

シュガー・ラッシュ:オンライン


監督:リッチ・ムーア
出演:ジョン・C・ライリー、サラ・シルバーマン、ガル・ガドット、ジャック・マクブライアー 他
言語:英語
リリース年:2018
評価★★★★★★☆☆☆☆




~”少し手を抜いた?前作の様な馴染みやすさは薄れて、ストーリーもちょっと作られた感あり”~
~”一番笑えるシーンは、予告編のシーンだったパターン”~

 もくじ


 あらすじ


ヴァネロペの人気レースゲーム「シュガー・ラッシュ」
ある日、プレイヤーの女の子が誤って機械のハンドルを壊してしまう
古いゲームなので製造会社は既に倒産しており、替えのハンドルは唯一ネットのオークションサイトで手に入るがその価格は200ドル
オーナーのリトワクさんは修理ではなく、「シュガー・ラッシュ」の廃棄を決めてしまう
引取業者が来るまでに何とかハンドルを手に入れるべく、ラルフとヴァネロペはインターネットの世界へ乗り込むが・・・


 レビュー

前作の“シュガー・ラッシュ”はとても気に入った作品で、リトワクさんがオーナーの小さなアーケードゲームの世界は居心地が良いものでした。世界が広すぎず、キャラクターも多すぎず、ストーリーも発端はラルフ個人の人間的な感情(ゲームキャラというのは置いておいて)によるもので、共感し易い。

今回はそんな小さなアーケードの居心地良さを捨てて、果てしなく広いインターネットの世界へ。

予告編にあった、ディズニーの持つ権力とキャラを総動員してプリンセスやスターウォーズとヴァネロペをコラボさせるワクワクするアドベンチャーかと思いきやそうでもない。正直、予告編で感じた”面白そう”とは結構ズレた内容になっている本編でした。いや、全然悪くはないんですけども。


Wi-Fiアダプタを通った先は異世界のインターネット


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

ハンドルを壊す事になる経緯も、ちょっと無理やり感を否めませんでした。いくらヴァネロペとラルフでも、人間がゲームをプレイしている最中で勝手な動きをするとは思えないし、下手な事をしてゲームがバグを起こしていると人間に思われる危険性は前作で散々語られていたはず。“故障中”と言われたら、一巻の終わりですから。

それにも関わらず、ゲーム中にターボしてしまうラルフも、それに悪ノリするヴァネロペも”らしくない”というか。そして図った様にハンドルが壊れてインターネットに出掛ける口実が出来ちゃうのも、ついて行けなかった。

前作の様に丁寧なストーリー進行ではなく、トントントンと物事が進んで私は戸惑いを払いきれませんでした。とは言え、前作と全くテイストが違うレーシングシーンなど見どころはたくさんです。

スカイ君
コレと言った悪役が居たりはしないんだがな、一応ラストにつても書いてるネタバレありだ
ネットで無限に広がるサイバー世界を縦横無尽に冒険

アーケードの世界から飛び出して出会ったのはオンラインゲーム。

中でも勿論ヴァネロペの気を引いたのはレーシング・ゲームで、その名もスローター・レース(Slaughter=虐殺)。だいぶシュガーから離れたテイストですね。

ケーキとキャンディで出来たカート・・・ではなく、これがまたカッコいいオープンカーが登場。フロントのライトはフェラーリ、グリルはマセラティを思わせる、どこから見てもスポーティーな車。


シュガー・ラッシュとは似つかないリアルな車と世界観


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

ヴァネロペがこの車をオーナーの新キャラ、シャンクから奪取するシーンでは超カッコいいカーチェイスが展開されます。ヴァネロペがシュガー・ラッシュの可愛らしいカートでは見せなかったハードなドリフトが炸裂。スポーツカーのエンジンが唸りをあげて猛スピードで飛ばすシーンは、見ていて爽快。

そんな爽快でアドレナリンパンプなシーンを、さらにエキサイティングにしてくれるのがシャンク。日本語版では菜々緒が声を担当していますが、負けず劣らずスタイルが良いハードボイルドなクールレディ。スローター・レースのラスボス的な存在の様ですが、そのドライビングテクはヴァネロペを上回ります。

スカイ君
前作以上にレーシングアクションを楽しめるのは良かったな
モカ君
結構ハデな感じだったよね!スピード感あって楽しかったよ

瓦礫と炎で塞がれたアンダーパスをヴァネロペは得意のバグ(不具合)ですり抜けましたが、シャンクはテクだけで瓦礫と炎を避けて突っ切ってしまいます。あの動きは・・・何なんだ、本当に出来るのかは分かりませんが、取り敢えず”スゲェ”と素直になりました。


美人でクール、シャンクは男女関係なく惚れるキャラ!英語版で声を担当しているガル・ガドットにも似ている?


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

彼女を取り巻くサブキャラはあまり目立ちませんが、シャンクは一見ワルぶっている様で実は優しく、着飾らない性格とスタイルに好感が持てます。その上に実力もピカイチとなると、もうキャーキャーです。実際にこんな人居たら友達になってみたい・・・

一方で他のキャラクターは・・・キモチワルイ

今回はインターネットが舞台ですので、ダークウェブなども登場します。

ダークウェブやダークネットというのは(私も詳しいワケではありませんが)、いわゆるGoogleやYahooなどの検索エンジンにインデックス(登録)されていないウェブサイトたちの事で、つまり普通にPCを使っていたら絶対にヒットしません。コンテンツは大概、いかがわしいものから本当に法的にアウトなものまで様々。

噂の域を出ませんが、人身売買やら見るも悍ましい画像や動画など特殊なブラウザを使わないとアクセスできないものでいっぱいらしい。今回はラルフがウィルスを入手する為に潜入するこのネットのダークサイドですが・・・


映画館の大画面にコイツふが出てきた時は完全にWTFって言っちゃった


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

何だコイツ。オェ。

ダークウェブが病的なのは分かるが、そのキモチワルサを満面に表現したかったのだろうか。怪しいとかそういう問題じゃない。そしてスターウォーズのジャバザハットにそっくり。

そしてクライマックスも負けず劣らずの気色悪さ。

スカイ君
何か、気持ち悪さより怖さを演出して欲しかったな。昔のゲスなアメリカのアニメにでもありそうな描写が目立ったぜ

ラルフが入手したウィルスが暴走してラルフが大量発生し、インターネットがシャットダウンしかけるのですがラルフが所狭しと犇めきあっている様子があまりにもキモいです。合体して巨大ラルフ化したヤツを見てあれをちょっと思い出しました、ハスコラ。


コレ、全部ラルフのコピーが蠢いてます、普通にホラーです



出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

個人的にはゾゾっとしたんだけど、これ下手したらトラウマになる子供いない?何か、目がちょっとカメレオンみたいになっているし、怖いよ。

そしてラルフ無限製造機になったウィルスはどうしたんだ。ラルフ軍団は何とか退治したけど、脆弱性を検出して拡散するウィルス本体は寿命があるわけでもなさそうだし、あの後もインターネットを自由に動き回っているんじゃないのか?・・・放って置いて大丈夫?俺、知ーらない(笑)。

活用して欲しかったプリンセスとマーベルとスターウォーズネタ

そうなんです、コレなんですよ。

プリンセスたちとの絡みがあまりにも一瞬過ぎて・・・もっと上手く使えなかったものだろうか。予告編を観た時は、例えばそれぞれのプリンセスの世界をパロディにしてヴァネロペとラルフで冒険する、とか期待していました。だって予告編が既にネタ化しているじゃないですか、プリンセスたちを。

スカイ君
予告編に騙された感はあったな!オールスターで大騒ぎするだけでも絶対楽しかったはずだ

にしてもシンデレラがバイオレンス過ぎる(笑)。ガラスの靴が武器ってスマブラに登場させたら面白そう。


T-シャツ姿のプリンセスたちも新鮮
もっとこのテイストで面白おかしくふざけてくれたら、絶対楽しかったのにもったいない


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

スターウォーズもストームトルーパーが一瞬出てきたくらいだし、ライトセイバーのデュエルでも入れれば良かったのに。

それにマーベルファンとしては、ベビー・グルートの登場シーンに大歓喜したものの、もっと欲しかった。ハルクとか登場させても面白かったんじゃないか、”ハルク、スマァッシュ!”みたいな感じで、ラルフと似た物同士で気が合いそうだし。マーベルの映画じゃないのは分かるけど、もっと活用できたってば、絶対。


シュガー・ラッシュオンラインのグルート
可愛すぎるベビー・グルートを登場させたのは大正解だけどね


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

あくまでもディズニーが持っているリソースをフル活用してエンタメ性を高めたなら、もっと良い作品になったと感じざるを得ませんでした。その点は残念ながら個人的にはマイナスですが、一方で前作と同様、ゲームの世界やネタがクレバーなジョークんなっていた様にインターネットの世界の描写自体は非常に良く出来ていました。

ポップアップ表示など、渋谷や六本木で客引きしている連中みたいになっていたし、クリックベイトのウザさは確かに似たものがあるかも。ラルフが殴り飛ばした看板がネットを回遊しているアバターを図らずも潰した瞬間とか、PC側では”接続エラー”が表示されたり。

“あー、あるある”となるデジタル特有のバグっぽい現象の裏側を、ユーモアいっぱいのジョークで表現してくれます。素直にこの辺りはクリエイターたちのスマートさを感じて楽しめましたね。

結構”大人”なメッセージを分かり易く表した作品

前作ではラルフを中心に、自分の存在価値やあり方を自問自答するストーリーが中核にありましたが、シュガー・ラッシュ:オンラインではハッピーとビターがセットで付いてきます。

結果的にはハッピーエンディングなのですが、これは“変わる”事への恐怖を受け入れたラルフとヴァネロペが掴んだもの。

時に、この世で一番大切な関係や、失いたくない情って”進化”させると自分の理想の形じゃなくなりますよね。友達や恋人と離れる事になったり、って怖いですよね。別れるわけではないけど、今までの関係が変わってしまう漠然とした不安感、何が起こるか分からない恐れですね。


シュガー・ラッシュオンライン
変わる事を望んだヴァネロペ自身も悩みに悩んだけど彼女の決断は・・・


出典:”Ralph Breaks the Internet(2018) ©Walt Disney Animation Studios”

“自分にとって正しい道は、とても怖い道だったりする事もある”

全然”シュガー”な甘いメッセージではなくて、現実を突きつけられるポイントですがシュガーラッシュ:オンラインの良いところはこんなメッセージでも説教臭くないこと。ヴァネロペの決断はラルフとの関係性を大きく変えてしまうものでしたが、二人に後悔はなく、スッキリとその”変化”を受け入れてうまくやっています。

学校、友達、仕事、家族・・・今の関係や状況に何らか不満を感じている人は、私も含めて世の中の殆ど。子供にとっても非常に意義のある教訓ですが、私たち大人もたかが転職という”変化”を恐れる傾向にあったりしますよね。

そんな人々にとてもパワフルな勇気を与えてくれる、シュガー・ラッシュ:オンライン。まだ観ていない方は、是非大切な人やお子様と観に行ってください。


 この映画を観られるサイト

見逃すのはもったいないシュガー・ラッシュ:オンライン!

ですが、12月現在なら映画館で上映中ですので是非、劇場でご鑑賞ください。動画配信が始まったら、こちらも適宜更新しますね。

 まとめ

個人的には僅差で前作の”シュガー・ラッシュ”の方が好きですが、続編も勿論楽しく観られる作品。子供や恋人と観るにもお勧めできます。

レースシーンなどはとても迫力があるので、4DXで観ると更に楽しめます。チョコレートに激突したシーンで実際にチョコの匂いがする空気が噴射された演出には驚きました(笑)。よく出来ている・・・

子供向けのディズニー映画とは言え、大人にもジーンと来るテーマなのでお見逃しなく。

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